「Heart Of Gold」という曲がある。ステージ上でT-BOLANのメンバー全員で歌うエモーショナルなナンバーだ。

 その曲で、青木はじっとしていることができなかった。ドラムスのポジションから上野のもとに歩み寄り、肩を抱いた。

「ああ、このステージで上野と一緒にいられるんだ」

 感極まった。

「1990年代のツアー中も、青木と上野はいつも一緒でしたから、夜も2人で部屋にこもって話し続けていた。お前ら、いったいどういう関係なの?なんてね(笑)」

 森友は2人をからかうが、その表情にはかすかに羨望もにじむ。

 2017年8月16日には、『T-BOLAN ~夏の終わりに BEST~ LOVE SONGS+1&LIFE SONGS』をリリースする。このアルバムのために、森友嵐士は新曲をつくった。タイトルは「ずっと君を」。T-BOLANらしい、せつないラヴソングだ。

 そして9月7日大阪、11日名古屋、13日東京、17日仙台で、アコースティックセットによる「T-BOLAN LIVE HEAVEN 2017 夏の終わりに「再会」~Acoustic Live Tour~」を行う。8月26日には神奈川県のOTODAMA SEA STUDIOでプレライヴも決定した。

 T-BOLANの新しい章が始まる。(文/神舘和典)

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神舘和典

神舘和典

1962年東京生まれ。音楽ライター。ジャズ、ロック、Jポップからクラシックまでクラシックまで膨大な数のアーティストをインタビューしてきた。『新書で入門ジャズの鉄板50枚+α』『音楽ライターが、書けなかった話』(以上新潮新書)『25人の偉大なるジャズメンが語る名盤・名言・名演奏』(幻冬舎新書)など著書多数。「文春トークライヴ」(文藝春秋)をはじめ音楽イベントのMCも行う。

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