師岡さんは1972年生まれ。原点は、「ずばり、『週刊少年ジャンプ』です」という。

「なかでも『キン肉マン』。小学生でもマネしやすいデザインなので、さんざん描きました。考えてみたら、最初からマネしてたんだなぁって(笑)」

 師岡さんの「時代の模倣」の根底にあるのは、その時代時代のマンガへのリスペクトだという。

「マネすることで、やっちゃいけないこと、怒られそうなギリギリのところをねらう方もたくさんいらっしゃいますが、僕の場合は、やっていいことを探しているつもりです。とにかく、マンガが大好きなんですよ。その先生の絵が大好きだから、マネをする。元のマンガを尊敬しているから、描く。『キン肉マン』を一生懸命マネしていたのと、変わっていないんですよ」

 80年代、90年代ときて、4作目となる16年版は2000年代の絵柄になるのかと思いきや、再び古いタッチのものに逆戻りした。

「2000年代になれば、僕が模倣しなくても、今活躍されている方ご本人に描いていただけばいいですしね(笑)」

 鉄道と師岡さんの新たなタッグも展開された。JR東京駅構内の2カ所の女子トイレに、師岡さんのマンガ作品が掲示された。ちなみに、内容は「トイレの痴漢」ではない。

「待機列でイライラしないよう楽しんでもらおうという意味と、お掃除のお姉さんのマンガなので、そういうお仕事をされている方をもっと盛り上げたいということで。並びながら読み進めて、最後に用を足した時に見るのが、『あなたを世界が待っている』という場面。要するに、みんな並んでるから早く出てね、ということなんですけれど(笑)」

「痴漢です!」シリーズの新作は、6月5日より首都圏の駅構内に掲出される。5作目の絵柄はどうなるのか? まったく別モノの展開だったりして。楽しみに待ちたい。(太田サトル)