「問題はモチベーションをどう維持するかです。そして、これは誰にでもできる。自分が出した結果や成長に、それがどんなに小さなものだったとしても、徹底的に敏感になって認識する。そして、その発見を喜べばいいんです」

 例えば、客との会話に自分の失敗談を取り入れるようにしたら、話が少し弾むようになったこと。体重を落としたら、客の笑顔が少し増えたこと。原因と結果を事細かに眺め、そのたびに達成感を得ることで、前進することができるという。

「結果がでなければ仕事はつまらないものです。でも、つまらないと思う仕事からもこうした発見はある。例えば路上で女の子に声をかけるキャッチ。ほとんど無視されるつらい仕事ですけど、長く続けていくと、どういう歩調の女の子なら話を聞いてくれるか、どんな風に声をかけたら関心を向けてくれるかなど、いろいろなことが見えてくる。その発見も結果であり、自分の成長。すると仕事が面白くなり、新たな工夫をしてみようという意欲が湧く。それでまた結果が出れば、さらに仕事が面白くなるという良いサイクルがつくれます」

 なぜ信長さんがこのような視点をもつことができたのかといえば「もともとがダメダメだったから」だという。

「コミュ障で太っていて、学校の成績はいつも最下位グループ。まったく自分に自信がなかったからこそ、自分の成長に敏感になれたのだと思います。また、一日の仕事の成果が売り上げとしてはっきりと出るホストという職業も大きい。努力をすればしただけリターンを感じることができる環境も、モチベーションを維持する上で大切ですから」

「実は二日酔いでふらふらなんですけど、今日もお店なので、頑張ってきます!」といって席を立った信長さんを見送りながら、彼が何げなく口にした「本だけ読んでいても人は変われない」という言葉を反すうしていた。ビジネス書によって成功し、自身でもビジネス書を執筆する人物がいうからこそ、その言葉には重みがある。