ポステコグルー体制のもと、充実期を迎えているオーストラリア代表(写真:Getty Images)
ポステコグルー体制のもと、充実期を迎えているオーストラリア代表(写真:Getty Images)

「明日の試合が楽しみだ」「僕もチームメイトも明日の試合を楽しみにしている」

 2018年W杯アジア最終予選第4節の日本戦を前に、オーストラリア代表のアンジェ・ポステコグルー監督と主将ミレ・イェディナクが会見で発したこの言葉は、社交辞令ではないだろう。ポステコグルー体制になって3年、オーストラリアは「アジアナンバー1」という目標に向けて順調に歩を進めている。今予選3試合を終えてグループB首位に立つ彼らにとって、ライバル日本との対決は最高の試金石である。

 注目は当然ながらティム・ケーヒルだ。日本と対戦した8試合で5ゴールと相性の良さを誇るが、その価値は決定力だけではない。ポステコグルー監督は「彼はメンタルがたくましい。敵に怯むことはなく、自分がチャンスを逃したような時でも動揺しない」と、鋼の精神力を評価。ロビー・クルーゼも「ティミー(ケーヒル)は日本戦でいい記録を持っているから、日本は彼を怖がっているだろうね。年齢もコンディションも関係ない。ボックス内にいいボールが入れば、彼は10回のうち9回は決める。彼がピッチに入るとみんな活気づく。どこからでも点が取れるというオーラがあるからね」とベテランのカリスマ性を語る。

 確かにケーヒルのパワーはオーストラリアの武器だ。しかし、今のチームにはポゼッションとクリエイティブさもプラスされている。かつてポステコグルー監督が率いたブリスベン・ロアーは、バルセロナのようなパスサッカーを展開したことから「ロアルセロナ」と称された。そのスタイルを受け継ぎ、“サッカルー”(オーストラリア代表の愛称)たちはフィジカル頼みのサッカーから繋ぐサッカーへと変化した。

 その片鱗は2014年W杯ですでに見えていた。アジア勢4チームはブラジルで1勝もできず、日本、韓国、イランは1分け2敗、オーストラリアは3戦全敗に終わったが、この4チームの中で最も高い評価を受けたのは、出場32チーム中FIFAランク最下位(当時)のオーストラリアだった。

次のページ