オランダ戦でワンダーボレーを叩き込んで喝采されたケーヒルはもちろん、彼が出場停止だったスペイン戦でも、ガチガチに守ってくるだろうという大方の予想を覆し、オーストラリアは攻める姿勢を見せた。結果は0-3の完敗だったが、彼らは「ブレイブ・オージー」「勇敢な敗者」と称えられながらブラジルを後にしたのだ。

 2013年10月の就任から1年も経たずに迎えたW杯では全敗したが、ポステコグルー監督の方向性は正しかった。オーストラリアは2015年のアジアカップ決勝で韓国を2-1で下し、優勝を果たした。「代表チームのプレースタイルは『タフで、献身的で、攻撃的で、クリエイティブで、決して勝利を諦めない』というオージー気質を反映すべき」という指揮官の信念が実を結んだ瞬間だった。

 今予選第2節のサウジアラビア戦は2-2で引き分けたが、指揮官のシャツが汗で透けるほどの暑さの中で1点ビハインドから一度は2-1としてみせた。逆転ゴールを挙げたのはトミ・ユリッチ。先発した3試合で2ゴールと今予選でブレークし、指揮官も「これまでで最高のコンディション」と期待する。膝の状態が心配されたイェディナクも「準備は整った」と日本戦の出場を明言。オーストラリアサッカー連盟は、4万5000人以上の観客がドッグランズ・スタジアムに集結すると述べており、大歓声の中で迎える日本戦が「楽しみ」なのもうなずける。

 かつて浦和に所属したマシュー・スピラノヴィッチは「アウェイの2試合は難しかったけど、今度は心の底から興奮できる。スタジアムを埋めたサポーターが支えてくれるからね。日本のレベルは高いけど、僕らのレベルも高いからいい試合になる。ホームでの戦いが楽しみ」とコメント。指揮官から選手まで、チーム全体がポジティブなイメージを持って日本戦に臨む。