大声で怒鳴りつけられる、朝も夜中も関係なく電話で起こされるなんて当たり前。とくに相方の西川きよしさんが参院選に立候補したときは、横山さんが荒れて荒れて、大変だった。
番組に泥酔状態でやってくる。
わたしが何を言っても「じゃかましい」と怒鳴る。
しまいには、吐いて倒れる。
突然、マネージャーのわたしが大勢のマスコミを前にして記者会見に出ることもあった。書けないような苦労もたくさんあった。
とはいえ、やすしさんは、表舞台に立ったら天才で、怖い面もあったけど、素顔はとてもかわいいトコロのある人。わたしは大好きだった。
ただ、機嫌がいいときと悪いときの差が激しかった。みんなに恐れられていた。
最後のほうは、人が寄り付きにくくなってもいた。
ある事故をきっかけに吉本をやめると、潮が引くように人が去っていった。
一方、相方のきよしさんは、初めて会った新入社員の女の子であるわたしにも、「よろしくな」と深々と頭を下げて握手してくれるような人だった。
「こんな大物が、わたしに」と感激したことをいまでも覚えている。
やすしさんが仕事に遅れてきたり、暴言を吐いたりしてまわりに迷惑をかけても、きよしさんが代わりにおおらかに「すまん」と言えるような、そんな人だった。
きよしさんは、社員やタレント、年下年上、ほんとうに誰からも好かれていた。