就任1年目でJ1昇格を果たしたアビスパ福岡の井原監督(写真・六川則夫)
就任1年目でJ1昇格を果たしたアビスパ福岡の井原監督(写真・六川則夫)

 アビスパ福岡がJ1に戻ってくる――J1昇格プレーオフ決勝が12月6日、長居スタジアムで行われ、福岡(J2・3位)はC大阪(J2・4位)と1-1で引き分け、規定によりリーグ戦上位の福岡が5年ぶりのJ1昇格を果たした。過去3回のプレーオフで、リーグ戦3位のチームが優勝したことはなかったが、そんなジンクスを福岡が初めて破った。

 引き分けでもJ1昇格が決まる福岡だったが、60分に先制点を奪われる苦しい展開。しかし、井原監督は坂田や中原ら攻撃的な選手を投入してパワープレーに転じる。87分には坂田のドリブル突破から左サイドを崩し、最後は亀川のクロスに詰めた中村が豪快に蹴り込んで、引き分けに持ち込んだ。

 昨シーズン16位と下位に低迷した福岡。今季からチームを率いる井原監督は、堅守からロングパスを活用したスタイルで着実に勝ち点を積み重ねた。リーグ戦を終わってみれば、2位の磐田と勝ち点で並ぶ3位に躍進。初のプレーオフに進出し、J1への切符をつかんだ。

 攻撃陣は7月に加入したFWウェリントンや、福岡一筋11年のFW城後らの高さを生かしつつ、守備陣ではU-22日本代表候補のGK中村やDF亀川ら新加入選手を大胆起用した。これらの選手をレギュラーに定着させた手腕は、高く評価できる。

 一方、惜しくも昇格を逃したC大阪は、日本代表MF山口をはじめ、玉田や茂庭、橋本、関口、田代といった元代表クラスを揃えるなど、開幕前には昇格候補の筆頭だった。戦力的には昇格候補の一番手だけに、来季は捲土重来を期待したい。

サッカージャーナリスト・六川亨)