このメダルをもって、内村は世界選手権で通算10個目の金メダルを獲得したことになる。なかでも種目別鉄棒の金メダル獲得は初。これまでは鉄棒の絶対王者、ユプケ・ゾンダーランド(オランダ)が阻んでいたからだ。今大会はゾンダーランドが予選落ちしていたことから「狙い目でもあった」と内村は話す。

 団体、個人総合、種目別鉄棒、そして白井健三が種目別ゆかで優勝し、日本は4つの金メダルを獲得した今回の世界選手権。内村は次のように振り返る。

「今年は五輪の前年なので、リオにつながるいい演技ができたと思う。結果もよかったですが、ただ五輪は甘いものじゃないと思うので、またここから出直して頑張りたいと思います」

 振り返ってみれば、選手の故障が相次ぎ、演技にはまさかのミスもあった今大会。それらを乗り越えてつかんだ数々の金メダルは、体操ニッポンにとって大きな意味のあるものだった。この経験は来年のリオ五輪、ひいては東京五輪に向けて、大きな糧になってくれるに違いない。

(ライター・横田 泉)