ファンが発電した電気でライブを敢行した“たこやきレインボー”
ファンが発電した電気でライブを敢行した“たこやきレインボー”
ライブに必要な電気を発電するために、4時間にわたり自転車をこぎ続けた“たこ虹家族”
ライブに必要な電気を発電するために、4時間にわたり自転車をこぎ続けた“たこ虹家族”
メンバーの清井咲希(左)と彩木咲良
メンバーの清井咲希(左)と彩木咲良
3曲目の電気が足りない事態に対し、ファンが自転車を漕ぎながらパフォーマンスを続けることに。会場は異様な熱気に包まれた
3曲目の電気が足りない事態に対し、ファンが自転車を漕ぎながらパフォーマンスを続けることに。会場は異様な熱気に包まれた

 3月1日、興味深いライブが京都・新風館のRe-Cue Hallにて行われた。そのライブとは、「ファンが作ったでんきでライブはできるのか」というもの。環境ファッションマガジン『ソトコト』と、ヴィレッジ・ヴァンガードがコラボしたシリーズ企画『でんきは作れる! ソトコト的でんきの教室』の第5回目として行われた同企画は、ライブで使用する電気をファンが自転車発電機を使って発電し、その発電量に応じて、アイドルが歌うことのできる曲数が変わってくるという内容だ。

 今回、ライブを行ったアイドルは、ももいろクローバーZや私立恵比寿中学、チームしゃちほこの妹分にあたる関西出身5人組の女性アイドルグループ「たこやきレインボー」。メンバーは、堀くるみ(紫)、彩木咲良(桃)、清井咲希(黄)、根岸可蓮(緑)、春名真依(青)からなる平均年齢14歳、勢いのある注目株のアイドルグループだ。

 冷たい雨の中、会場には、ライブ開始5時間前の正午から“たこ虹家族”と呼ばれる数多くのファンが集結。10台用意された自転車に、横1列になってまたがり、1分間ひたすら自転車のペダルを漕ぎ、発電を行った。1回参加するごとに、それぞれの“たこ虹”メンバーの「発電証明書」がもらえるということもあり、ほぼ全員が何度も何度も列に並び、発電を続けた。ファンたちからは、「思った以上に1分間はしんどい」「でも、みんなでライブを作りあげていくのは楽しい」という声が。

 発電量は、10人が1分間漕ぐことで約3wh前後。開始から15分で19.6wh、25分で30.7wh、35分で47.8whと、少しずつではあるが、順調に増え続けた。途中からは、たこやきレインボーのメンバーたちも舞台上から声援を送り、ファンの士気を鼓舞。4時間後、最終的な積算発電量は412.4whに。この電気を使いトークショーとライブが無事行われることとなった。

 雨もやみ、苦労して発電した分、ファンたちの興奮も最高潮に高まったところで、まずはトークショーがスタートした。ソトコト編集長・指出一正氏の司会のもと、再生可能エネルギーにまつわるクイズが行われ、メンバーたちも積極的に参加。ちなみに、このトークショーでメンバーたちが使用するマイクの電力も、もちろんファンが作ったものだ。指出氏は、普段使用している電気も自分たちで作ることができるということ、そして再生可能エネルギーをどれだけ利用できるようになるかが、これからの日本の将来に大きく影響してくることを分かりやすく解説した。

 電気について学んだ後は、いよいよライブ開始。まずは、「絶唱! なにわで生まれた少女たち」「なにわのはにわ」のパフォーマンスを披露。そして3曲目に入ろうとしたところで、電力が不足する事態に。しかし、ファンの熱い声に応え、メンバーがファンを指名し、選ばれた10人が再び自転車で発電することで、なんとか電力を補いながら「踊れ! 青春カルナバル」を歌い切った。そしてマイク電源が尽きてしまったが、最後にデビュー・シングルである「オーバー・ザ・たこやきレインボー」を、ファンの熱狂的なコールと共にアカペラで披露し、イベントは終了した。

 自ら汗を流し自転車を漕いで発電することで、参加者はもちろん、メンバーたちもまた、発電することの大変さ、電気の大切さを実感したようだ。

 アイドルへの応援熱が、そのまま実際の電力に変換されるという今回の企画。「電力」という形でアイドルへの愛情を示すのも、新しい応援の仕方として大いに魅力があるのかもしれない。エコという観点も含んだ、新しいライブのあり方の可能性を感じさせるには十分なほど、終始熱気に包まれた1日だった。

【関連リンク】
でんきは作れる! ソトコト的でんきの教室
http://www.sotokoto.net/denki-tsukuru/