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日本で普及すべきは太陽光発電より太陽熱温水器?

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環境楽習館正面玄関

環境楽習館正面玄関

給湯や暖房に使用する太陽熱温水器。

給湯や暖房に使用する太陽熱温水器。

天井裏。天井板の上面に床下のタンクから水が送られる。水分を風で蒸発させることによって、気化熱で表面を冷やす。

天井裏。天井板の上面に床下のタンクから水が送られる。水分を風で蒸発させることによって、気化熱で表面を冷やす。

一番奥の青色の容器が床下の「放熱タンク」。約1トンの雨水を貯めており、計3個ある。屋根上の太陽熱温水器や天井面散水管に接続している。

一番奥の青色の容器が床下の「放熱タンク」。約1トンの雨水を貯めており、計3個ある。屋根上の太陽熱温水器や天井面散水管に接続している。

壁に設置された表面温度測定器。天井・床にも設置されている。

壁に設置された表面温度測定器。天井・床にも設置されている。

ペレットストーブ。寒さが厳しい時はこれで床下タンクの雨水を温める。

ペレットストーブ。寒さが厳しい時はこれで床下タンクの雨水を温める。

 太陽光のエネルギーをそのまま利用する太陽熱エネルギー。かつて日本では1970年代の石油危機に伴う原油価格の高騰を背景に、身近な太陽熱エネルギーが活用できる給湯設備として太陽熱温水器の設置が増加した時期があった。だが、1980年をピークに、その後は原油価格の下落と共に販売台数は減少傾向に。

 しかし、東日本大震災以降、太陽熱利用の助成を始める自治体が増加しており、太陽熱利用は普及への兆しが見え始めている。

 たとえば、太陽熱温水器で給湯や暖房の熱を賄うだけでなく、雨水と風の力で冷房まで行う東京・小金井市の環境配慮型住宅「環境楽習館」。こちらでは、地域に合った環境配慮型のモデルハウスをつくるため、設計から効果検証まで行っているという。

 今回はその環境楽習館を訪れ、住宅における自然エネルギーの利用を取材した。

●太陽・風・雨水の力を活かす家

「環境楽習館」は公共プロジェクト「雨デモ風デモハウス・プロジェクト」によって建設された環境に優しいモデルハウス。同プロジェクトは、小金井市を拠点に活動するNPOグリーンネックレスを中心に、市民・大学・行政の協働で進められてきた。2009年末から3年にわたり、都から経費の全額補助を受ける形で、同館の市民参加による企画、設計、施工、管理運営、効果検証を実施。その後は同館の管理・運営を市が請け負っている。

 環境楽習館では電気やガスに頼らずに、雨水・風による冷房と、太陽熱温水器による給湯および暖房を行う。人間が室温だけでなく、床・壁・天井などから放射の影響を大きく受けることに着目し、床・壁・天井の表面を気化熱で冷やしたり、温水で暖めたりすることで、室内の温度を調節。体感として快適な室内環境を実現できるというわけだ。

 ただ、夏の猛暑の中、どうやって雨水と風で「冷房」できるのだろうか。

 仕組みはいたってシンプルだ。まず、床下の放熱タンクに雨水を溜める。外気温が30℃を超えても雨水は20℃程度のため、これだけで床面の温度を下げることができる。加えて天井板の裏面を雨水で湿らせ、天井裏を通る風で蒸発させることにより、気化熱で天井の表面温度を下げるという。さらに、同館では開閉式の通風孔を各所に設け、天井裏だけでなく建物全体の風通しを良くしている。

 また、冬場は屋根上の太陽熱温水器で温めた水を床下の放熱タンクに送り、循環させることで室内を暖める。天気が悪い時はペレットストーブで床下タンクの雨水を温め、温水を循環させる。なお、床下タンクの雨水を循環させるポンプや制御弁など、電力の必要な圧送ポンプ等は屋根に設置した240Wの太陽光発電装置で電源を賄っている。

 ちなみに、これと同じシステムの住宅はすでに実用化されており、横浜市や宇都宮市などで実績がある。

●家庭における消費エネルギーの6割を節減

この住宅の利点は、給湯と冷暖房を自然エネルギーで賄っているため、ガス・電気代を節減できることだ。2013年度エネルギー白書によると、家庭の消費エネルギーに占める給湯・暖房・冷房の割合は合計で全体の約60%に及ぶため、節減効果は非常に大きい。また、地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の排出も抑制できる。

 また、このシステムは災害時に電力・ガス・水道などのインフラが断たれたとしても、システムを作動させることができる。床下のタンクに溜められた約3トンの雨水は非常用水としての使用も考えられ、災害に強い建物として、地域の防災ステーションや避難所の役割を担うことも可能だ。

 プロジェクトに関わったNPO法人グリーンネックレスの建築家・前田幸則さんはこう語る。


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