工藤と城島の師弟コンビがホークスに帰ってくる!?98年の開幕戦で完投勝利を挙げた工藤とがっちり握手する城島(c)朝日新聞社 @@写禁
工藤と城島の師弟コンビがホークスに帰ってくる!?98年の開幕戦で完投勝利を挙げた工藤とがっちり握手する城島(c)朝日新聞社 @@写禁

 優勝請負人が帰ってきた――。野球評論家の工藤公康氏(51)は11月1日、福岡市内で記者会見に臨み、福岡ソフトバンクホークスの監督就任を正式発表した。

 秋山幸二前監督(52)の後任に、球団はOBの工藤氏に白羽の矢を立て、10月中旬、王貞治・球団会長が工藤氏に就任を要請。内諾を得ていた。

 名古屋電気高(現・愛工大名電高)から1982年にドラフト6位で西武に入団した工藤氏は、95年にダイエーに移籍。99年の福岡移転後初の日本一の立役者となった。その後、巨人、横浜(現DeNA)、西武を経て、2011年オフに48歳で現役を引退した。現役通算224勝を挙げ、93、99年にはパ・リーグの最優秀選手を獲得するなど実績は文句なし。現役時代には独自の投球術とトレーニング法を実践し、現在も筑波大学大学院で学ぶなど、球界きっての理論派として知られる。

 だが、不安要素がないわけではない。今年、日本一に返り咲き常勝軍団への道を歩み始めた球団が求めるのは、球界の盟主となること。すぐに結果を出さなければいけないのだ。ただ工藤氏には指導者としての経験がなく、それを不安視する声がある。

日本ハムの栗山英樹監督も現役引退後、コーチ経験がなく、解説者からそのまま監督になり成功しています。栗山監督と工藤氏に共通しているのは、グラウンドを外から熱心に勉強したこと。指導者経験の有無は、それほど障害にはならないでしょう」(野球ライター)

 監督としてチーム全体を動かすためには、右腕となるコーチ陣が大切になる。2011年12月、工藤氏は横浜DeNA監督就任間近と言われながら、コーチの人選をめぐりまさかの「破談」になった過去がある。

「しかし今回は、球団の後藤オーナー代行兼社長が、『コーチ人事も補強も、全面的なバックアップ態勢を整える』といった趣旨の発言しています。新監督にとって、こんな心強いことはありません」(前出の野球ライター)

 現在、コーチの組閣作業が急ピッチで進んでいるという。今季まで楽天の投手コーチを務めていた佐藤義則氏(60)、OBの佐々木誠氏(49)らが招聘される見通し。

 そんななか、最も注目されるのは、参謀役としてOBの城島健司氏(38)が入閣するかどうか。ホークス時代の工藤氏がマウンド上から一流捕手に育て上げた城島氏は、工藤野球を熟知している。新監督の成否は、城島氏の入閣にかかっているかもしれない。

 もう一つサプライズがあるとすると、OBで今年はブルージェイズでプレーした川崎宗則(33)のホークスへの復帰だ。来季は「日米双方を視野に入れたい」と語っており、ムードメーカーでもありチームを引っ張る「顔」としたいところだ。

 いずれにせよ、これまでの実績と理論に裏付けられた「工藤ホークス」は、これまでにない野球を見せてくれるだろう。期待が高まる。
(ジャーナリスト・青柳雄介)