NX開発を担当した加藤主査
NX開発を担当した加藤主査
「LEXUS NX AMAZING NIGHT」の模様
「LEXUS NX AMAZING NIGHT」の模様

 ここ数年、高級自動車メーカー各社がクロスオーバーSUVの新型モデルを続々と投入している。 2009年にBMWが「X1」を発売すると、アウディは2011年に「Q3」を発表。さらに今年、メルセデス・ベンツの「GLA」が販売され、それぞれ人気を集めている。 これらのモデルに共通するのは、全長=4000〜4600mm程度、全幅=1800mm前後と、従来の同カテゴリー(全長=4700mm以上、全幅1900mm前後)よりコンパクトにつくられている点。元々、ラグジュアリーカーを好む購買層だけでなく、扱いやすいクルマを好む女性や若者に受け入れられているのも、同市場が活気づいている理由のひとつといえるだろう。

 世界的に隆盛を極める、ラグジュアリー・コンパクトクロスオーバーSUV市場だが、これまで、日本のメーカーは、このセグメントに関しては積極的に参入していなかった。 しかし、ついにトヨタの高級ブランド「レクサス」が7月29日に初のコンパクトクロスオーバーSUV「NX」の販売を開始し、このクラスに参入することとなった。
 
 販売前から業界関係者の間では評価の高かったレクサス「NX」。前評判通り、7月末の時点で、月間販売目標の700台の約9.5倍となる6500台の受注が入るなど、最高の滑り出しとなった。

 大きな注目が集まる中、8月26日にはSTAR RISE TOWER(旧・東京タワースタジオ)で「LEXUS NX AMAZING NIGHT」という一夜限りのイベントが開催された。

そのイベント会場に姿を見せていたレクサスインターナショナルの開発責任者、加藤武明主査に「NX」について話を聞いた。

――NXというクルマには、どのような意味が込められているのか?
レクサスの「次の時代のお客様」、すなわち、若い世代のお客様にブランドを知っていただきたい、そんな思いがあった。将来的に、LS(セダン)やRX(大型SUV)にも乗っていただければということもあるが、NXはエントリーモデルであり、まずは若い人々の目に留まらなければならない。さらにSUVは、マーケット全体として伸びており、競争も激しい。そうした中で埋もれないように、カッコいい、個性的なクルマにしたかったので、レクサスというブランドにしてはアグレッシブなモデルに仕上がった。「誰にも似ていない。だけど、やっぱりNXはレクサスのクルマだね」と言われるようにしたい。

――競合車種と比べたときの、NXの個性とは?
特に、サイドビューがスポーティ。しかし、そのようなルックスにもかかわらず、たとえばゴルフバッグが3〜4個入る、膝の前のスペースを広めにとるなど、余裕をもった設計にしている。競合車種と比べたときには、ハンドリングが自然なこともNXの個性だ。

――ブランドとして「まだ足りない」と感じている部分はあるか?
我々としては「プログレッシブ・ラグジュアリー(先進のラグジュアリー)」という言葉でブランドの“味”を打ち出している。しかし、お客様にはまだ浸透していないのではないだろうか。他社であれば「BMW、アウディはこういうクルマだよね」というイメージがあるが、同様に「レクサスはこうだよね」とお客様に感じていただけるようにしたい。そのためには歴史を積み重ねていく必要があるから、時間はかかるかもしれないが(ブランド構築に)きちんと取り組んでいきたい。

 コンサルティング企業、ベイン・アンド・カンパニーの発表によると、年間6%(2013年)の伸びを示しているラグジュアリーカー市場。レクサスがコンパクトクロスオーバーSUVに参入したことで、同マーケットにどのような影響を及ぼすのであろうか。