シュテファン大聖堂のオブジェ
シュテファン大聖堂のオブジェ
プラハ城
プラハ城
プラハ城のオブジェ
プラハ城のオブジェ
聖バルボラ教会
聖バルボラ教会
聖バルボラ教会のオブジェ
聖バルボラ教会のオブジェ
セドレツ納骨堂
セドレツ納骨堂
セドレツ納骨堂
セドレツ納骨堂

 徳島県出身の主婦兼漫画家の東條さち子氏が世界一周のひとり旅に出発し、世界各地でまき起こった珍道中をまとめた『主婦を休んで旅に出た よくばり世界一周!』を出版。今回はヨーロッパを中心に見受けられるゴシック建築物について書いています。悪趣味だけどそこがいい、ゴシック建築の魅力とは?

* * *
 私の世界一周旅行、インドから北欧を抜けて次に訪れたのはバルト三国のエストニア。こちらの旧市街の街並みはおとぎ話から抜け出してきたようなファンシーな雰囲気でお気に入りだったのに、バルト三国、そしてポーランドに入ると街中の雰囲気が一変しました。少しずつ南下していく旅だったのでその変化を目の当たりにしたのですが、段々とゴツゴツした建物ばかりになっていきます。

 よくわからないですけど、これがゴシック建築というものでしょうか。私の道中、そのゴシック建築はチェコのプラハで頂点を迎え、オーストリアのウィーンあたりまで続くのですが……。

 このゴシック建築の建物がいい意味で醜悪! そして病的! なのです(すべて褒め言葉です)。それらの建物はだいたいお城か教会なのですが、こんなにも天までそびえるような黒々としたイビツな悪魔的な建物が教会って……。お城だって、とても人間のお城には見えません。魔王が棲んでいそう……に見えませんか?

 簡単にどんな建物か説明すると、シンプルさゼロを目指しています、みたいな。とにかく平面が許せないみたいです。平面はシンプルですから。あと角とかもシンプルの部類なんでしょうね。とにかくそういうのをゼロにするために、飾る飾る。

 飾りもかわいいものじゃないですよ。何かわからない生き物とか、怖い顔とか。日本で最近流行っているようなゆるさとか癒やしとかを完全否定しています! そういうものの対極を目指していますね。

 角にくっついている何かわからない生き物は、ひとつひとつ違う顔です……。そして雨どいに配置された生き物は、もうどういうことになっているのでしょうか。お尻から貫かれたような管が口からのぞいているのです。きっと雨が降ったらこの口から吐き出すように雨水を出すんでしょうね。どう考えても悪趣味にしか思えませんでした。

 チェコのプラハ城でも吐き出す仕様、ポーランドの聖バルボラ教会でも同じく。オーストリアのウィーン、シュテファン大聖堂でもぶれることなく吐き出していました。

 そういうわけで、このあたりの国ではもっぱら建物にくっついている恐怖の雨どい観察をしていました。とにかく悪趣味。だが、そこがいい。とことん極めようとするその姿勢にシンパシーを感じるような気がしなくもないです。

 とことん極めるといえば、チェコのセドレツ納骨堂もすごかったですね。「ちょっと! ここ、教会なのにいいの? 信者の骨、私物化しちゃって?」という突っ込みが入ってしまうくらいの極め具合。「信者の骨でシャンデリア作っちゃいますか~」「あっ、信者の骨でサインまで書いちゃいました」という。とにかくいろいろ突き抜けている。たぶん見た人がいかに引くか、競っているような……。中世ヨーロッパって面白い時代だったんだと感心した道中でした。