●新しい渋谷駅は本当に便利になるのか?

 新しい渋谷駅でスムーズに乗り換えるには、3つのポイントがある。

 1つ目のポイントは、全ての乗り換えを3階「中央改札」経由で行うことだ。これまでは乗り換え路線ごとに目指す改札が異なっていたから分かりにくかったが、JRのホームに着いたら上り階段を探して「中央改札」に向かうと決めておけば迷いにくい。これまでの乗り換えルートはいったんリセットしよう。

「中央改札」を出て左手側が渋谷マークシティや東急101などがある西口方面、右手側が11月1日にオープンしたばかりの渋谷スクランブルスクエアや渋谷ヒカリエがある東口方面だ。井の頭線への乗り換えだけは左手(西口方面)に進む必要があるが、それ以外の東急・地下鉄への乗り換えは全て右手(東口方面)に進むのが2つ目のポイントだ。

 前述の通り、JRから銀座線への乗り換えはこれまで、「中央改札」を出て左手(西口方面)に進み、複雑な上下移動をする必要があった。それが1月3日以降は、「中央改札」を出て右手(東口方面)の通路を進んだすぐ先に銀座線の新しい改札口が設置され、ほぼ水平移動で乗り換えができるようになる。

 東急東横線・地下鉄副都心線、東急田園都市線・地下鉄半蔵門線への乗り換えは、新しい銀座線改札の先、渋谷スクランブルスクエア横にあるエレベーター・エスカレーターを利用しよう。エスカレーターをつづら返しに乗り継いで、地上3階から地下2階まで下りていくと、東急東横線・地下鉄副都心線の「渋谷ヒカリエ1」「渋谷ヒカリエ2」改札は目の前だ。東急田園都市線・地下鉄半蔵門線を利用する場合も、この改札から入り、改札内の通路を経由して行けば迷いにくい。

 これまでの乗り換えルートは水平移動と垂直移動をこまめに繰り返すから分かりにくく、迷いやすかった。まとめて水平移動してから、まとめて垂直移動するのが、3つ目のポイントだ。

 2020年春には、埼京線ホームが山手線ホームの隣に移設され、埼京線からも「中央改札」が近くなる。埼玉・神奈川方面から埼京線・湘南新宿ラインで渋谷に出て、銀座線に乗り換えて表参道、外苑前方面に出るという使い方も、今後は十分実用的になるはずだ。

 ただ、ホーム移設が完了しても、渋谷駅全体の動線が整理されるまでには、まだしばらく時間がかかる。工事の進展により通路が変更されることもあるだろうし、各所に狭い通路や段差があるので、朝のラッシュ時には混雑も予想される。あくまで、不慣れな人のための目安として考えてもらえば幸いだ。

 最後にひとつだけ、銀座線ホームの移設により、京王井の頭線から銀座線へのエレベータールートが大きく変わることを付記しておこう。現在、井の頭線から銀座線(乗車ホーム)は渋谷マークシティ内のエレベーターを、銀座線(降車ホーム)から京王井の頭線は東急百貨店東横店西館のエレベーターを利用して乗り換えができるが、ホームが移設されると前者のルートが使えなくなる。

 また、東急百貨店東横店西館も2020年3月31日をもって閉店となり、店内のエレベーターは使えなくなるという。エレベーターが必要な人は当面、渋谷マークシティのエレベーターで地上に下りて、道路とJR渋谷駅を横断し、渋谷スクランブルスクエアのエレベーターから銀座線改札まで上がる必要があるようだ。

(枝久保達也:鉄道ジャーナリスト)