3人のお子さんの希望進路などは記載されていませんが、3人が中学、高校ともに公立、大学に進学するとしましょう。少し多めに教育費を見積もると、中学、高校の6年間で300万円、大学は文系と理系の平均450万円として1人当たり合計750万円、3人で合計2250万円の資金を準備する必要があります。

 現在、2人分の学資保険に加入されていますが、掛け金が月1万円弱(1人)で18歳まで払い込むとすれば、満期金は230万円前後と推測されます。2人で460万円、3人分の教育費の合計は2250万円ですから、不足分1790万円を、住宅ローンの返済をしながら準備しなければならないのです。

 今ある貯金250万円は予備費として取っておきたいところですが、仮にこれを教育費に充てた場合でも、これから1540万円を準備する必要があります。

●ローンと教育費貯金だけで月20万円毎月15万円でやりくりを

 では、住宅ローンを返済しながら教育費を準備するには、どれくらいのペースで貯蓄すべきか試算してみましょう。

 住宅ローンを含めたローンの総額は3900万円と書かれています。返済方法や返済期間、ならびに借入金利の記載はありませんので、ここではその方法をご提案します。

 返済方法は「毎月払いのみ」、返済期間は妥協して「30年の元利均等払い」が良いでしょう。現在、Rさんは34歳、夫は38歳なので、35年返済で借り入れると完済時期が夫73歳になります。できれば夫が63歳の返済期間25年でローンの支払いを終えたいですが、子どもの教育費の準備期間を考え、返済期間は夫が68歳になるまでの30年が望ましいでしょう。

 公務員は60歳が定年、かつ民間のような希望者が全員再雇用されるわけではありませんが、Rさんの夫の年齢であれば、将来、定年が65歳に延びる可能性もあります。ローンをボーナス併用払いとしなかったのは、定年が65歳に延長されない、あるいは延長されたとしても60歳以降の収入は民間企業のように数割減となる恐れがあるからです。

 定年退職以降に住宅ローンが残れば、退職金で返済しようと考えているかもしれませんが、残りを一括返済してしまうと老後資金が大幅に足りなくなる可能性があります。借入金利は変動金利0.7%程度で審査されたかもしれませんが、安全を期して固定金利の1.2%で試算しています。その場合の毎月の返済額は約12万9000円、年間約154万8000円です。

 この金額を返済しながら教育費をどう準備するのか。先に試算したように教育費の不足額は、1540万円です。末子の年齢は4歳、大学を出るまで18年間ありますから、1540万円を18年間で割れば、1年当たり85.55万円、月に直せば約7万1300円になります。住宅ローンの約12万9000円をプラスすると、毎月20万300円です。

 今ある貯蓄250万円は、マイホームを購入されると引っ越し費用、家電製品や家財の買い替えなどで、使ってしまうかもしれません。教育費の不足額1540万円の試算では、貯蓄250万円を含めていましたので、もし使ってしまうなら、その分を上乗せして試算しなければなりません。

 また、車などを買い替える可能性もありますから、ある程度の予備費が必要でしょう。これらの費用も勘案すれば、貯蓄額は先の教育費として貯める以外に、5万~6万円をプラスする必要があります。仮に5万円を上乗せするだけでも、住宅ローンと貯蓄額で毎月25万300円、年間30万3600円です。試算では手取り額590万円でしたので、289万6400円が住宅ローンと貯蓄以外に振り向けられる金額になります。

 ただし、この試算にはRさん夫婦の老後資金は考慮しておりません。また、子どもが公立ではなく私立へ進学した場合も想定していません。これらの資金も考慮するならば、289万6400円のうち、100万円くらいを老後資金かつ安心料として貯蓄に回しておくべきでしょう。つまり、年間189万6400円、月間15万8000円程度で生活するように工夫しなければならないのです。

 ざっくりとした試算ですが、末子が社会人になるまでの18年間はこうした節制した生活を続ける必要があります。厳しめの試算になったかもしれませんが、これからRさんが頑張ればできないことはないでしょう。

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夫婦の老後資金もさらに考慮すべき