近年、小さな子どものいる家庭での「ワンオペ家事育児」も問題になっています。帰宅して寝かしつけまでの限られた時間ではなかなか片づけまで手が回らない、時間的・労力的な問題があります。そもそも効率的にしまえる収納家具がなく、妻の努力だけでは片づかない環境的な問題がある場合もあります。

 本来、どのくらいの片づき具合を快適に感じるかは感性の差で、上下はないはずなのですが、一般的には「家は片づいているほど良い」と思われているため、夫の意見が声高になりがちです。苦言を日常的に浴びる妻は、「私はこのくらいでも気にならないのだけど、夫は正しいことを言っているのだから、そのようにできない私がダメなのだろう」と自信をなくし、反論できない心境に追い込まれてしまいます。

 片づけの話で妻が黙りこんでしまったらそれは「納得した」「理解した」のではなく「言い分を飲み込んだ」だけかもしれません。苦手な人を正論で追い込むコミュニケーションはとても危険です。妻を家に縛っても、うまく片づけられない状況は変わりませんし、恨みつらみが別の形でかえってくることにもなりかねないとご承知おきください。

 大切なのは自分の感じているストレスも伝えつつ「妻は今どう感じているのか?」「どのようなサポートを必要と感じているのか」も聞き取り、できるだけそれに沿った解決方法を夫婦で話し合うことではないでしょうか。

●「空間の問題」と「人の問題」は別のものと考える

 NGコミュニケーション、3つめは「人格の否定」です。

「こんな部屋でよく平気でいられるね」
「片づけられない病気じゃないの?」
「君のせいで子どもに悪い影響が出る」
「普通このくらいのことはできるはずでしょ」
「こんな家じゃ帰りたくなくなるよ」

 こんなセリフに心当たりのある男性もいらっしゃるのではないでしょうか?

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片づけられないことと人格は別問題