●こんな「一生懸命」をやっていませんか?

さて、次のような光景を見かけたことはありませんか?

<ケース1>

Aさん「B課長、ご指示通りに仕上げました。これでよろしいでしょうか?」

B課長「そもそもの話だけど、やはり○○は必要だよね。やり直して」

Aさん「(会議で○○はいらないと決めたはずでは……)はい、一からやり直します(今日は徹夜かも)」

翌日

Aさん「(今度は絶対にひっくり返されないように、パターンをすべて洗い出して完璧に仕上げたぞ)B課長、資料ができました。今度こそ完璧です」

B課長「おいおい、こんなにたくさんの資料、何に使うんだよ。会議参加者はみんな忙しいんだぞ。こんな分厚い資料読んでくれないよ。要点をまとめたこの3枚だけでいいんだよ。9割の資料がムダだよ。こんなことに時間をかけず、もっと生産性を上げろよ!」

Aさん「(せっかく徹夜でがんばったのに……)はい、以後気をつけます」

<ケース2>

D課長「Cさん、急ぎで悪いんだけど、この資料、月曜朝一までに仕上げてくれないかな」

Cさん「(今、金曜の16時なのに……)わかりました」

D課長「ありがとう、やっぱり仕事が速いCさんは頼りになるよ」

30分後

E課長「Cさん、悪いけど今日中にこれを仕上げてくれないかな。急ぎで」

Cさん「(あと30分で定時なのに今日中とは……)E課長、わかりました」

E課長「ありがとう、いつも仕事が速くて助かるよ、よろしく!」

さらに30分後

F課長「Cさん、悪いけど、月曜の経営会議で使うデータの分析、やっといてくれないかな」

Cさん「(おいおい、直属の上司の依頼は断れないよ)はい、わかりました」

F課長「あとはよろしく!」

Cさん「(はあ、今日は娘の誕生日なのに。今日は終電コースだな……)」

“ムダな努力”を排除しよう
 あなたのオフィスでも似たようなことが起こっているのではないでしょうか。個人の作業スピードをどれだけ上げても、生産性は上がりません。自分の作業時間よりも、上司、関係部署、取引先といった他者とのやりとりの中で生産性は決まります。

ショートカットや辞書登録で入力スピードを上げても、

朝、早起きして誰もいないときに出社しても、

素直にすぐ行動しても、

方眼ノートや時間管理ツールを活用しても、

 やり直しになったり、上司や先輩の指示が悪かったりすれば、1ミリも意味がないのです。仕事を1秒でも早く完結させるには、結果につながらないムダな努力をすべて排除する必要があります。ムダな努力は次の5パターンに分類できます。

(1)一生懸命がんばるけれども、やり直しが多い

(2)すべてに全力投球で、疲れ果てる

(3)責任感を持ちすぎて、仕事を抱えすぎる

(4)根回しに労力と時間をかけすぎ、疲弊する

(5)上司の指示通りにやるが、結果が伴わない

 結果につながらないムダな努力を排除すること。小さなアプローチの違いで、あなたの仕事がラクに速くなるだけでなく、周囲の人間の生産性も向上させることができます。

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『「ラクして速い」が一番すごい』著者からのメッセージ