12月5日に文学フリマというイベントに参加し、電子書籍を売ってみた。文学系のものを自由に売買するイベントで、550あるブースの多くは同人誌を販売している。90センチほどの横幅のスペースの使用料は4500円だった。

 この日のために、私は4つの電子書籍を用意した。電子書籍なのだからインターネット上で販売することだって可能なのに私はわざわざイベントを選んだ。なぜならば、そうしないとサボってなかなか制作をしないだろうからだ。
 それに電子書籍を対面で売るという行為が楽しそうで、どうしても体験してみたかった。

 いざ売ってみるととても不思議だった。何しろ商品の在庫がないのだ。電子書籍なので、お金をいただいても商品は私とお客様の間には存在しない。お客様のメールアドレス宛に、ダウンロード先のURLをお送りするという形をとっているのだ。本を売る時はカートを引いて重い思いをして現地に向かうしかなかった私。今までは1度に20冊までが限界だった。でもこの電子書籍のおかげで私たち物書きは今までより多くの本を売ることが可能になったのだ。

 私が出したのは、自選ツイッター小説集と、最近書いた舞台脚本、イケメン写真集2冊。イケメン好きな女性やツイッター小説好きの男性が入り混じってブースは大変にぎやかだった。

 この日私はとても不思議な気持ちになった。ありがたいことに写真集のモデルのイケメン俳優くんが駆けつけてくれたのだけれど、その時に彼のファンの女性達と話をした。そして彼は彼で、私が普段から一緒に活動している物書きのみなさんと楽しそうに言葉を交わし、最後には一緒に写真まで撮り、握手をして去っていった。いつもはなかなか交わらないお互いの世界が重なった貴重な一瞬がそこにあった。

 途中で帰ったモデルの彼をタクシーに乗せて送り出したら、私の手持ちのお金はほとんどなくなってしまった。朝、急いでいてお金をおろす暇もなかったから。けれど、電子書籍が何十冊も売れたので、イベント終了時にはお金は増えていた。

 メールで販売できる商品を持ったので、今後お財布を落としたとしても誰かに電子書籍を買ってもらって家に帰る切符代を稼ぐ手段ができたということになる。電子書籍、想像以上に便利なものなのかもしれない。