あまちゃんと半沢直樹に日本中が夢中になっていた2013年の暑い暑い夏、剛くんはわが家にやって来ました。家人が大須商店街で買い物をすませた帰り道、暑さのあまりへたばっていたノラの子を拾ってきたのです。

 ノミだらけでゴミくずのようだった剛くんは、我々の愛情をたっぷりと享受し、それは驚くほどのイケメン猫となりました(写真)。

 名前は、家に来たときにたまたまテレビに映っていた綾野剛氏からちょうだいしました。綾野氏は見た目が何だか猫っぽいし、呼びやすかろうという理由で。

 外見こそ我々を魅了してやまない剛くんですが、天下無敵のヘタレ猫です。

 早々に去勢してしまったせいなのか、性格もまことに頼りなく、覇気がありません。外でいじめられでもしたのでしょうか、最近では外出するということがほとんどないため、お友だちも全くできず、女の子猫からは見向きもされません。

 しかし!! 剛くんには我々がついています。飲み水が用意してあるにもかかわらず仏壇にお供えしてある水を飲み、どらやきを夜中にむさぼり食い、CDラジカセの開閉部を破壊し、ごくまれに野性味を発揮したときに捕まえたハトを庭に放置するなどの行為を許容するのも、ひとえに剛くんが可愛くて可愛くてたまらないからなのです。

 我々は剛くんのつかみどころのないマイペースぶりに振り回されながらも、お世話係として日々の任務に当たっております。

 ちなみに、剛くんの兄弟の中で残っているのは剛くんだけ。ただ一匹生きのびた、まことに運の強い子である剛くんに、我々が年末になるとささげる一言があります。「剛くん、今年の年末ジャンボは頼むね!」

 ──お察しのとおり、前回も玉砕でした。

(山本和世さん 愛知県/50歳/会社員)

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