モルモットのチビ(写真、雌)を飼い始めたのは7年前。

 モルモットは見た目は可愛いが、臆病なたちで人に懐かない。ペットとしてはちょっと魅力に欠けるかもしれない。本当は犬が一番好きだ。しかし、以前飼っていた犬が死んだとき、あまりに悲しくて、もう飼うまいと決めたのだ。

 モルモットは実験に使われる動物でもあり、ペットロスの衝撃も少なかろう。チビには悪いが、それが飼い始めた理由である。

 それにしてもよく食べる。ナス1本平気で平らげる。「いい子ね」と頭をなでてやっても、可愛がるならエサをくれ、とばかりに私の手をはねのけ、ケージを揺すってエサをねだる。

 ただ、私の若い友人のSちゃんが来るとコロッと変わって、ちっちゃなコメディアンみたいになる。Sちゃんは小動物が好きで飼いたいのに、ご主人が動物アレルギーであきらめたそうだ。

 玄関でSちゃんの声がすると、チビはクイクイと鳴いて騒ぎだす。新鮮なキュウリのお土産をいつも持ってきてくれるからだ。

 彼女はとても大柄な女性。「ハロー、ベジタリアン」と独特なトーンでチビに話しかける。そして自分の腕にのせ、背中を優しくなでると、チビは小さな口を目いっぱい開けてあくびをし、毛繕いまで始める。

 その上驚いたことに、「チビ、チューして」と唇を突き出すと、チビは自分の口をちゃんと近づけてキス。「これでいい?」というように、じっとしている。もちろん、ご褒美のキュウリがもらえるからだが、いつも笑ってしまう。

 ちなみに、私が真似して「チュー」と言っても、チビは無視。

 懐いてくれなくてもいいから、そばにいて長生きしてね、そんな心境である。

(園部邦子さん 愛知県/74歳/無職)

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