第1171回 「吾輩は猫である」と思っている雌犬

2016/04/07 10:33

 わが家には3歳の小型の雌犬「ハル」=写真左=がいる。
 気が小さく、客人を見ればさっと隠れ、近づかれれば震えが止まらない。散歩先で犬に会うと、それが自分より小さくとも、その場で固まるか、私の足に前脚をかけて「抱っこして?」とばかりにせがむ。草むらからカエルが顔を出せば怖がって飛びのき、雨が降れば傘が怖くて散歩に出かけられない。この臆病ぶりには苦笑するばかりだ。
 わが家には猫も5匹いるが、猫たちはみんな去勢や避妊手術をしているためか、あるいは性格なのか、新参者のハルに牙をむいたり、攻撃や威嚇をすることはない。ほどほどの距離をとりつつ、マイペースに共同生活を重ねているのだ。
 ハルがわが家に来たことで猫の生活で変わったことといえば、犬の散歩に猫数匹がついていくようになったことだろうか。
 初めは心配したが、猫たちは隠れん坊や追いかけっこなどをしながら上手についてきている。
 そういう環境で育ったハルは、気が小さくて同じ犬でさえ苦手なくせに、猫には友好的で興味津々。自分から猫にじゃれつき、においをかぎ、ちょっかいを出しては遊んでくれアピールをするのがほほえましい。
 けれどもハルが、雌のくせに、最も気の合う黒猫のスズ(5歳、やはり雌です)=同右=の背中にマウンティングしているのを見ると、もしやハルは自分を猫だと思っているんじゃないか?と少し心配になる。
 近い将来、ハルにお婿さんを見つけて子どもを産ませる可能性も考えていたが、こうも「猫好きの犬嫌い」ではね……。
 とはいえ、スズもそんなハルを愛しく思うのか、母のようにハルの毛繕いをしたり添い寝したりしていて、いかにも心和む光景である。

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