「のあ」(写真)という男性名ですが、れっきとしたさびの女子です。
「のあ」がわが家にやってきてから、7年たちました。
 かなり昔に、飼っていた猫を亡くした時、とても悲しくて、もう猫は飼うまいと思いました。
 ところが、家の中に十二支の先頭に立つあの生き物が出るようになり、いつぞやの決意はどこへやら、「お猫様~!」と助けを求めることになりました。
「のあ」は、動物保護団体から譲り受けました。「ここ1カ月ずっと、駅のそばで同じ猫を見かける。とても人懐っこく、警戒心がなさすぎて心配」との知らせに、すぐ保護団体の方が駆けつけ、保護してくださったそうです。
 初めて会った時、のどをゴロゴロ鳴らしていた「のあ」。抱っこした瞬間、猫と一緒にいる時にしか味わえない、あの至福の感覚が久々によみがえり……。
 それはしばらく忘れていたとても贅沢な感覚でした。
 彼女はすぐに慣れ、超ハイスピードでわが家の一員となっていきました。親馬鹿のようですが、本当に性格が良く、人を引っかいたり噛みついたりすることは皆無。人間が大好きで、いつもそばに寄ってきます。
 その様子を見ていると、たぶん子猫のころから相当人間にかわいがられていたのだろうと推測されます。そんな「のあ」が、なぜ駅なんかに? 保護された時、5歳くらいとのことでしたが、それまでどんな日々を送ってきたのか。「おみゃえは今までどうしてきたにょ?」と猫語で話しかけるも、中くらいの長さの尻尾を振るだけです。
 最近はめっきり年をとり、寝ていることが多くなりました。でも、まだまだ一緒に居てもらわなければ。いつか別れる時が来るからこそ、今のこの時間を大切にしていきたいのです。

(船田昌江さん 埼玉県/52歳/会社員)

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