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第48回 スケジュールを空ける文・大谷由里子 |

貧乏性なわたしは、昔っから、すぐにスケジュールを埋めてしまう。
それどころか吉本興業のマネージャー時代、タレントのスケジュールもすぐに埋めていた。
芸人さんたちも、「忙しくていいわ」と喜んでくれるし、売上にもなるし、忙しいのは良いことだと思っていた。
そんなある日、上司に言われた。
「スケジュールをバンバン入れるのもいいけれど、ほんまにいい仕事が入ってきたときに、スケジュールがあいてないという理由で断るほど悲しいものはないぞ」
そんな発想はなかった。
けれども実際に、その現場を目の当たりにした。
全国ネットのレギュラー番組のオファーがあるタレントに来たさい、そのタレントは小さな仕事でスケジュールが詰まっていた。
一方、当時の島田紳助さんとマネージャーは、あえて仕事のスケジュールに余裕をもたせていた。
「やりたい仕事をちゃんとやろう」という考えがあったからだった。
そして、その全国ネットの番組のレギュラーには、島田紳助さんが出ることになった。
その時のわたしは、宮川大助・花子のマネージャーだった。
そして、まだこれからという時期だったので、「とにかく露出が大切」と、なんでもかんでも仕事を入れていた。
そんな自分に反省した。
2人を説得してスケジュールを空けることにした。
「このまま仕事が入らなかったら、どうしょう」
かなり不安だった。
ところが、ありがたいことにそこにレギュラー番組が2本入って、2人はテレビでも売れっ子になっていった。
(更新 2016/1/20 )

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プロフィール
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大谷由里子(おおたに・ゆりこ) 1963年奈良県生まれ。京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。主な著書に『仕事で大事なルールは吉本興業で学んだ』(こう書房)、『はじめて講師を頼まれたら読む本』(中経出版)など多数。 |