劇団☆新感線公演『シレンとラギ』、無事全公演が終了しました。
 大阪で4/24に初日を迎え、東京公演が終了したのが7/2。
 本番だけでも4つの月にまたがったこの公演、全69ステージ。新感線史上最長のものでした。
 本当に長かった。

 東京公演が始まって二週間くらい経ったころ、楽屋にいると、みんなドンヨリした雰囲気がありました。
「やってもやっても終わらない。本当に終わりが来る時があるのだろうか」という気分になっていたのです。
 それがラスト一週間くらいになると、みんな疲れが出てはいるのでしょうが全体的に雰囲気は明るくなった。ついに終わりが見えてきたという感覚だったのですね。

 大千穐楽の日は、僕は楽屋にいました。
 結構悲惨な話なので、後半続々と死人が出ます。舞台の上では無残な最期を遂げた人達が、楽屋に戻ってくるときはニコニコといい笑顔で帰ってくる。
 自分の出番が全部終了してあとはカーテンコールを残すのみ。その開放感が自然と笑顔になるのですね。
 舞台とのギャップが大きくて、可笑しくなってしまいました。
 でも、それだけプレッシャーがあったのも確かでしょう。
 全公演が終わったあと、役者達の打ち上げがあったのですが、そこでみた役者のみなさんの笑顔の明るかったこと。
 例えばカリスマ教祖ゴダイ役の高橋克実さん。舞台上では清濁併せ飲む怪人物を圧倒的な迫力で演じて下さいました。
 普段テレビで観るイメージとは全く違うので多くの方が驚いたようです。書いた僕としても嬉しい限りだったのですが、この宴会の席では、いつもの気立てのいいおじさんの顔にすっかり戻っていて、ゴダイのゴの字もありませんでした。
 
 怪我人や病人が出ることなく、スターティングメンバーが顔を揃えて終えられたのは本当にありがたいことです。
 もちろん、そんなことのないように、キャストもスタッフも十全の注意をはらって本番に臨んでいるのですが、それでも舞台は生物。アクシデントが起こることはあるのですね。
 特に最近の新感線の公演はそういう事故が続いたので、今回は無事に終われて関係者は全員胸をなでおろしました。
 劇場に足を運んでいただいたみなさんにも改めて深く感謝します。
 
 それはそれとして、『シレンとラギ』が終わったということは、『五右衛門ロック3』が待っているということです。 もういやがおうでも台本を書かなきゃいけない。
 僕は楽屋の中でも、制作班が入っている部屋に大体いるのですが、千穐楽が近づいたある日、台本へのプレッシャーから「あーあ、『シレンとラギ』があと四ヶ月続けばいいのに」と軽口を叩いたら、「そんな言葉がキャストに聞こえたら暴動が起こりますよ」と諭されてしまいました。
 いや、それはその通りなんですが。
 とにかく、頑張るしかないですね。