3.11後の新年、再び向き合う『戯伝写楽 ―その男、十郎兵衛―』 |AERA dot. (アエラドット)

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3.11後の新年、再び向き合う『戯伝写楽 ―その男、十郎兵衛―』

文・中島かずき

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 新しい年を迎えましたね。
 まだまだ震災の復興も原発の処理も続いている状態で、「明けましておめでとうございます」と気楽に言っていいものかという意見があります。
 新年の言葉ひとつとっても微妙な問題を持つのが、今の日本の現状なのでしょう。
 来年の正月は屈託なく「おめでとうございます」と言える状況になっていて欲しいなと、切に願います。

 今年は、会社を辞めて物書き一本になって二回目の年越しです。
 それまでの正月休みと言えば、原稿書きに専念できる貴重な時間。二足のわらじの人間には盆も正月もない。むしろウェルカム正月、ウェルカムお盆。休みがあるから、会社の仕事は置いといて、自分の仕事に集中出来る時という感じでした。
 物書き専業になって少しは楽になったかと言えば、とんでもない。
 劇団☆新感線の新作『シレンとラギ』の台本執筆に追いかけられています。
 いろいろと各所に無理を言って12月はこの作品の執筆に集中出来たので、もう一息という所までは来ているのですが、できれば年内にアップしたかった。
 一月からは他の仕事も進めなければいけないので、気持ちは焦っているのですが。今までは昼間は会社の仕事、夜は原稿書きとやっていけたので、二本の作品の同時進行くらいなんとかなるだろうと思っていたのですが、むしろ職種が違う方が切り替えができるようです。
 まあ、20代からそのスタイルでやってきていたので身体も慣れていたのでしょうが。
 早くフルタイムライターとして、並行して違う作品を進められる要領をつかまないといけません。

 と、新年早々からぼやいていてもよくないですね。
 放映中の『仮面ライダーフォーゼ』や連載中の作品を除いた今年最初の仕事は、宮野真守くん主演・中屋敷法仁くん演出の『戯伝写楽 ―その男、十郎兵衛―』になります。
 振り返ってみると、去年も同じ事を書いていました
 去年の三月十日に幕を開けたこの舞台は、翌日に東日本大震災が起こり結局4回公演しただけで中止。幻の作品になってしまいました。
 今回、新たなキャストに平野綾さん、関智一さん、柴田秀勝さんを迎え、仕切り直して公演します。
 あの三月を経て、人の気持ちは大きく変わりました。
 今書いている『シレンとラギ』もそうですが、3.11以前と以降では、作る作品にも大きな影響が出ているはずです。
 特にこの『戯伝写楽 ―その男、十郎兵衛―』は、その直撃を受けた作品だけに、今回改めて公演を打つまでには、紆余曲折がありました。プロデューサーとして関わっていた朴?美さんと宮野くんとも、もう一度この作品と向かい合うために真剣な話し合いを重ねました。
 それでも、悔いを残したくない。
 そういう思いで、再スタートを切った作品です。
 いよいよ稽古も始まります。
 2/1~2/5、新宿スペースゼロにて。詳細はこちらをご覧下さい。
 新しいキャストも加えてどういう舞台になるか、僕も楽しみです。


(更新 2012/1/ 5 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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