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天神様への願い事は・・・・

文・中島かずき

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 さて、2010年、21世紀も10年目に突入しました。
 20世紀は戦争の世紀だったとも言われますが、今世紀はどうでしょう。
 インターネットの普及により圧倒的に世界的な情報の共有化は進みましたよね。
 自分の子供たちがパソコンの前にへばりついてユーチューブやニコニコ動画をながめているのを見ると、なんともいえず不安な気持ちになるのはなんでなんでしょうね。
 自分たちが子供の時は、テレビの前にへばりついていたことを思うと、ブラウン管がパソコンのモニターにかわっただけでそんなに大きな違いはないよと、頭では思っても、感覚的に拒否感がある。
 自分が経験していないメディアには、漠然とした不安があるのでしょうか。
 自分自身でも解決できていない感情です。

 そんな時代でも、多くの人が初詣には行きます。
 普段はそんなに信仰心に厚いわけでもないのに、こういうときは「縁起物だから」という気分になる。かくいう僕もそうなのですが、まあ、このゆるい感じは悪くないんじゃないかと思います。あまりガチガチに信仰に走るのもこわい部分がありますしね。
 今年は、子供の受験もあり、福岡に帰省した際に太宰府天満宮に出かけました。
 さすがにすごい人出です。参拝まで一時間半ほど並びました。
 ようやく自分の順番が来て、お賽銭を投げたとき、右腕に激痛が。前から患っていた五十肩が痛んだのです。
 あれも祈ろうとこれも祈ろうと思っていたのに、手を合わせながら心に浮かんだのは「いたたたた!」だけ。
 いかんいかん、これじゃ天神様も困惑するだけだと、慌てて子供の合格を祈りました。正月早々間抜けな話です。

 それはさておき、去年は久しぶりに芝居の脚本書きに明け暮れた年でした。
 新感線のほかにも久しぶりの外部への提供で、あわせて三本の新作を書き下ろしました。
 これが結構きつかった。

 一昨年は小説が多かった。『天元突破グレンラガン』のノベライズが二冊と『まつるひとびと』という半年の連載がありました。
 小説は戯曲に比べると圧倒的に書かなければならない枚数が多い。戯曲だと多くても四百字詰めで200枚を越えませんが、小説の書き下ろしだと四百字詰め4?500枚になる。倍以上です。
 その時期は「来年は芝居が三本だから余裕だよ。慣れてる台本形式だし、こんなに枚数書かなくていいんだから楽勝だよ」と自分に言い聞かせながらキーボードを叩いていたのですが、全く読みが甘かった。
 枚数の問題じゃない。新しい物語を生み出すというのは手間がかかるものなのだと、その時になって改めて思い知りました。
 特に『薔薇とサムライ』は焦りました。
 去年後半のこのコラムでも、ずっと台本書かなきゃという話をしている。よっぽどプレッシャーだったんですねえ。

 あ、しまった。初詣で「原稿が早く書けますように」とお願いするのも忘れてた。
 まったくにっくき五十肩です。


(更新 2010/1/ 7 )


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プロフィール

中島 かずき(なかしま・かずき)

 劇作家、脚本家。福岡県出身。1985年より劇団☆新感線の座付き作家に。「阿修羅城の瞳」「髑髏城の七人」などの物語性を重視したエンターテイメント時代活劇"いのうえ歌舞伎"を多く生み出す。「アテルイ」で第47回岸田國士戯曲賞受賞。コミック原作や、アニメ「天元突破グレンラガン」(07、09)脚本・シリーズ構成、「仮面ライダーフォーゼ」(11)メイン脚本など幅広く活躍。脚本を手がけた「真田十勇士」(演出:宮田慶子、主演:上川隆也)が8月から上演される

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