来年開催の【グラミー賞】ノミネーション、これまでで最も透明性が高くなる理由とは?
来年開催の【グラミー賞】ノミネーション、これまでで最も透明性が高くなる理由とは?

 物議を醸していた選考審査委員会(Nominations Review Committees)の廃止をはじめとする【グラミー賞】を主催するレコーディング・アカデミーによるここ最近の大きな改革により、10月に行われる【第64回グラミー賞】のノミネーションで、投票者の選択はこれまで以上に重要になりそうだ。

 1989年に初めて採用された選考審査委員会は徐々に拡大していった。この選考審査委員会の公表されていないメンバーたちは、今年3月に発表された【グラミー賞】では84部門のうち59部門の最終候補者を決定していた。レコーディング・アカデミーCEOのハーヴィー・メイソン・ジュニアは、「(投票)プロセスを完全に透明化し、疑問の余地がないものにするため」に、一般とジャンル部門のノミネートは投票者によって決定する変更を行った。

 【第63回グラミー賞】で一部門もノミネートされなかったことに憤ったザ・ウィークエンドのようなアーティストは、委員会の価値を公然と疑問視しており、アカデミーは委員会を廃止するだけでなく、アーティストとの関係を修復する必要がある。信頼を回復するためには、「積極的に働きかけ、アーティストのコミュニティが変化が起こっていることを理解すること」が必要であるとハーヴィー・メイソン・ジュニアは述べた。また、「以前と変わらないコミュニティだと思われたら、失望されるでしょう」と続けた。

 米ナッシュビルを拠点とするラッパーのダイシャ・マックブライドは、今年6月に新に投票権を与えられた2,710名の新メンバーの候補の一人である。「ヒップホップ・アーティストとして、私たちはジェイ・Zやザ・ウィークエンドが“【グラミー賞】は公平ではない”と公言したように、【グラミー賞】に対する考えを確実に持っています」と彼女は述べた。「ですが、【グラミー賞】が“私たちはしっかりと仕事をしてこなかった”と認め、努力をする限り、ジャンルとして、私たちは少なくとも歩み寄るよう努めます」と続けた。

 2019年と2020年に同様の活動を行ったレコーディング・アカデミーは、会員のさらなる多様化と時代にあったメンバーの招待を目指している。現在は既存の投票者も、過去5年以内に作品でクレジットされていることを証明し、再度資格を得る必要がある。S-Curve Records創始者で2度の【グラミー賞】受賞歴があるスティーヴ・グリーンバーグは、情報に精通した新しい活力源が鍵になると言う。

 「委員会システムが解決するために作られた問題は、最も有名でベテランのアーティストによるそれほど重要でないリリースがノミネートを独占しないようにすることでした」と彼は説明した。「最良の解決策は、多様な経歴を持ち、投票する分野で現在活躍している人物を投票メンバーに加え、常に顔ぶれを更新していくことです」と続けた。そして、彼らに必ず投票してもらうことが重要である。ハーヴィー・メイソン・ジュニアは今回の変更に伴い、「投票権を持つ人たちが投票に参加し、投票用紙に注意を払うことが重要である」と強調した。

 マックブライドは自分の一票を投じる準備ができている。「私の一票が、年配の投票者が投票しないようなアーティストの助けになるかもしれません」と彼女は言う。「私は(アカデミーに)チャンスを与え、より良くする手助けをしたいです」と続けた。