かねはら・ひとみ/1983年、東京都生まれ。2003年、『蛇にピアス』ですばる文学賞、04年、芥川賞。21年、『アンソーシャル ディスタンス』で谷崎潤一郎賞、22年、『ミーツ・ザ・ワールド』で柴田錬三郎賞。エッセイに『パリの砂漠、東京の蜃気楼』など(写真:小黒冴夏)
『YABUNONAKA-ヤブノナカ』(2420円〈税込み〉/文藝春秋)文芸界を舞台に、性加害の告発をめぐる人間ドラマを描く長編小説。文芸誌の元編集長、木戸悠介は、作家志望の女性から過去の性的搾取をネットで告発される。木戸、告発者、若手の編集部員、作家とその恋人、引きこもる娘、木戸の高校生の息子らがそれぞれの視点から語り、事態は意外な結末へと向かう。題名は、一人の侍の死について複数の人が語る、芥川龍之介の短編小説「藪の中」から