「給料が安い」とか「事務所が抜いてる」とかよく言われるけど、若い時に金を渡さないのは事務所なりの理由がある。20歳そこらで大金を手にしちゃうと、普通は派手に使って遊んじゃうし、仕事もしなくなっちゃうでしょ。そうならないようにっていう配慮だったりもするんですよ。
これは差別とかじゃなく現実として、特に女の子のタレントは旬が短い。一度ブレイクした後に心を病んで引退しちゃう子もいるし、結婚して子育てしていたり、勉強のために大学に通っているっていう子もいる。だから、ちゃんと飯が食えるぐらいに育てて、しかも辞めずに続けてもらうには、それなりの管理が必要なんだと思います。
まあ、芸人はまた別ですよ。男も女も売れるまで放ったらかしでいい。イケメンだからとかそういう理由で事務所が売り出したって、現場で面白くなければ辛い思いをするのは本人ですから。テレビに出ている芸人はみんな自分で考えたネタが誰かに認められて上がってきているわけです。心が折れたり、バイトとか恋愛に夢中になったり、借金作ったりするやつもいますが、それをはねのけて悔しい思いをしながらも努力できた人が、結果的にお笑いの才能があったってことなんです。
そして、芸能界で結婚よりもハードルが高いのが政治的な発言でしょうね。アメリカではレディー・ガガがトランプタワーの前で抗議したりしたけど、日本だとスポンサーの考え方があったり、それによって仕事が無くなったりする。僕だって選挙応援はNGですよ。
だから沖縄の翁長雄志知事が亡くなったときに安室(奈美恵)ちゃんが追悼コメントを出したのはびっくりしました。知事の遺志が受け継がれることを願うって、政治的な考えになるだろうから。でも最近はツイッターで安倍首相が嫌いって言って公言しているタレントもいるし、デモに行く人もいますよね。発信しなくていいことをわざわざ言うんだから、よっぽど許せないんだなと思う。逆のパターンもあるけど、どっちにしろ自分の考えがあるっていうのは素敵なことじゃないですか。
タレントだから芸能人だからって政治的な考えを言っちゃダメだとか、それにびっくりしちゃう我々の考え方がもう古いのかも? 思想によって差別したいのかって話だし。安室ちゃんというパイオニアがいて、徐々に変わるのかもしれないですよね。ハードルは高いですけど。今後、芸能界がどう動くのか注目したいです。