よりによって、審判が守備妨害を取られるという思わず口アングリの珍プレーが見られたのが、2008年の1回戦、日大鶴ヶ丘vs鹿児島実。

 3点を先行された日大鶴ヶ丘は3回、先頭の坂村健太が中前安打で出塁。次打者・内ノ倉健祐はカウント2-2から空振り三振に倒れたが、投球と同時にスタートを切っていた坂村は二盗に成功した……否、成功したはずだった。

 ところが直後、審判団が集まって協議し、守備妨害があったとして、坂村は一塁に戻されてしまった。

 当初はテレビ中継の解説者が、内ノ倉の空振りしたバットが捕手・湊崎諭史のミットに触れたのではないかと推理するほど微妙なプレーだったが、実は二塁に送球しようとした湊崎の右肘が後方の日野高球審のマスクにぶつかっていたのだ。なんと、審判の守備妨害!

 VTRを見ると、確かに湊崎が送球動作に入った直後、「バッターアウト!」をコールする日野球審のマスクが落下している。まさか球審が守備妨害していようとは、場内説明を受けたスタンドの観客もビックリ仰天だった。

 せっかく盗塁を決めたと思ったのに、まさかのアクシデントで取り消される羽目になった坂村は、その後再び二盗を試みたが、今度はアウトになり、この回、日大鶴ヶ丘は無得点。これで勝利の女神からそっぽを向かれてしまったのか、1対14と大敗した。

●プロフィール
久保田龍雄
1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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