「スカイマークはANAやJALに比べて小さな会社だったこともよかった。当社はどのスタッフもみんなスカイマーク社員なのです。大手のように別会社の社員はいません。そのため同じ土俵で議論し、力を合わせることができました」
いまや正社員、派遣社員、子会社社員など様々な待遇の同僚たちと一緒に働く職場は一般的になったが、スカイマークはそうではなかったことが功を奏した。経営再建を進めるには、そこで働く人たちが同じ目標を見て努力し、いい結果が出れば同じようにそれぞれが成果を享受できなくては頑張れないにちがいない。ましてや現場で働くスタッフは子会社社員や派遣社員ばかりで、そこで頑張った成果は親会社の正社員がかすめ取っていくという組織ならば、現場は浮かばれない。
スカイマークの定時運航率は、経営再建1年目の15年度に7位、16年度にスターフライヤー(92.15%)、JAL(91.68%)に次いで3位の89.72%となり、17年度はとうとうJALを抑えて、トップに立ったのだ。
定時運航率がトップになりはしたが、スカイマークのブランド力はまだまだである。客の多くはスカイマークが「LCC(格安航空会社)」だと思い込み、LCCのように手荷物を預けると追加料金を取られるのではないかと思っているようだ。そのため無理やり大きな荷物を機内に持ち込もうとして、搭乗時間が長引くことがあるという。そのため空港のチェックインカウンターでは「手荷物はお一人様何個でも合計20㎏までは無料」と書かれた横断幕が下げられている。
経営再建企業にとっては、ブランド力や社員の満足度の向上は大きな課題である。すでに「定時運航率NO.1達成」のポスターが社内のあちらこちらに張られた。一つ確かな成果が出れば、社員の自信にもつながる。負け癖がついたチームが貴重な一勝ですっかり雰囲気が変わることもある。2020年9月までの再上場がスカイマークの経営目標である。すでに再上場の前倒しは視野に入りつつある。 (Gemba Lab代表 安井孝之)