その次のグループとして、自治医科大、産業医科大、順天堂大、昭和大、関西医科大、日本大、東京医科大、東邦大と続いている。模試によって難易度の順番は入れ替わるが、東京医科大は2番手グループの真ん中あたりといっていい。国立大学医学部との併願者が多く、難関大学の一つとして数えられる。
研究面では論文引用度指数、科研費で私立医科単科大学のなかで上位に位置する。これらは研究が評価されての結果であり、大学教員の研究熱心さがうかがえる。なかでも科研費配分総額が東京慈恵会医科大、日本医科大よりも上位というのは注目できる。
社長出身では私立医科大学で岩手医科大、東京慈恵会医科大に次いで3位となった。開業医の多さが示されている。政治家出身1人とは、参議院議員(比例区、自民党選出)の羽生田俊氏である。13年、眼科医からの転身である。日本医師会副会長も務めていた。
私立大学医学部の世界ではこんな法則が伝えられている。
学費6年間総額が安いところは、偏差値が高い。そして医師国家試験合格率が高い。これは優秀な学生が学費の安いところに集まり、必然的に偏差値が高くなるからだ。それが医師国家試験の合格実績につながっているのだ。これは私立大学医学部にとっても大きなブランド力となっている。
東京医科大は、こうしたブランド力がある大学の一つと言っていいだろう。それは現役生比率の低さ、つまり浪人しないと合格できないほど難関であることからも言える。
しかし、いま、裏口入学疑惑で、上記の法則が適用される大学から外されかねない。そんな危機的状況を迎えている。
ブランド力の失墜である。
東京医科大は信頼を取り戻すために全容を解明するしかない。
(文/小林哲夫・教育ジャーナリスト)
