「子どもが戦隊ヒーローに抱っこされたり、写真を撮ったりするのに憧れを抱くのと同じで、少女漫画を読んで『壁ドン』とか『顎クイ』に憧れる子もいる。そういったものを叶えられる場でもあるかなと思っている」
とはいえ、この先いつか地上に上がったとして、どこで折り合いをつけるのだろうか。
「ファンの子たちは地下から上がっていく姿を見守ってくれている子が多い。いわゆる親心ですよね。成長過程や昔の思い出は地下時代を知ってる子しか分からない。それに、地上に上がっても握手会とかはできるから、そこで『久しぶり』って話せたりすると良いなと思っています」(橘さん)
■1分1000円で時間を買う 「ジェネリックホスト」の声も
取材当日にVIMAが催していた特典会は、約3時間弱で売上は16万円。個々の比率については教えてもらえなかったが、仮にメンバー5人均等に配分したとして、一人3万円だ。かなり稼いでいるのではないかと思えるが、「レッスン費や活動費に使うためほぼ手元に残らない」と橘さんは話す。
VIMAでは1000円で1分間、好きなメンバーとトークをしながら写真を1枚撮ることもできる。この1分間はファンとメンバー、2人の時間。手をつなぎながら話すもよし、ハグするもよし。「指チュウ」もこの1分で行われる。枚数制限はなく、時間がくるまで何周もするファンもいた。さらに、地下アイドルはライブイベントの場数が多い。VIMAも5月に出演したイベントは18本。「毎月15~20本くらいは出ている」と橘さんは言う。ファンからすれば、チケット代だけでもそれなりの金額になるが、そこに特典代も加わるとかなりの出費になりそうだ。それも「親心」からなのか。
前述の番組内では、応援資金を稼ぐために「パパ活をしている」といった女性の声もあった。地下アイドル業界に詳しい関係者は「応援するために風俗で稼ぐファンも多い。何度も足を運んでくれるお客さんとはスタッフも顔見知りになるので、『あの子、池袋で働いてるからどんなサービスができるか確かめてきて』なんて言われたりもしますよ」と実態を明かす。