「大手アイドル事務所や音楽レーベルに所属していた人も多い。だが、食べていくことができず、地下にくる。最初は『どうしてアイドルなんか』と抵抗する人もいますが、活動するうちにファンがついて、お金も稼げることが分かってくる。地下アイドルをしながら、本来やりたかった俳優業での活躍を目指す。ファンもそれを知っているから、“推し”が出演する舞台にも駆けつけます」(前出・業界関係者)

 しかし、アイドル業も簡単ではない。メンズに限らず、地下アイドル業界はメンバーの入・脱退が多いのも特徴の一つだと前出の業界関係者は指摘する。「脱退だけでなく、早いと1カ月も経たずに解散するグループもあります。メンバー同士で喧嘩をしたり、就職だったりと理由は色々ですが……」

 VIMAも現メンバーの中で結成当初から所属していたのは橘さん一人だけ。「VIMAにもモデルや役者を志望しているメンバーがいましたが、思っていたものと違うと感じたり、ライブやレッスンが多くアルバイトができないと辞める人も多い」と橘さん。そして、相次ぐメンバーの脱退や他グループの解散に「自分たちもいつそうなるか分からず、不安になることもある」と漏らす。

「メンバーの入れ替わりもあり、グループのファンはまだ少ない。ワンマンライブをやりたいと思っているが、今のままだとまだ厳しいのかなと思っています」(橘さん)

 ネットで炎上し、メンバーが入れ替わったという激動の半年間。それでも、橘さんはアイドルを続けたいという。

「番組で300万円のタンス貯金を見せましたが、あれは会社員時代の貯金。最初のうちは人気がなくて、売り上げもなくて、給料もなくて苦しかった。でも、ライブの楽しさがあるから続けられている。ライブがしたいから寝る時間を削ってダンスや歌の練習を頑張れる。アルバイトがあるので、深夜にレッスンをやることも多く、24時間寝れずにライブに行くメンバーもいます。時給にしたら、本当に少ない。でも、頑張りたい。歌もダンスもバラエティも全てに対応できるアイドルになりたい」(橘さん)

 取材が終わったのは夜9時前。翌日も午後からライブを控えているというが、橘さんは次の現場へと向かった。(AERA dot. 編集部・福井しほ)

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