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日本では無許可の栽培や所持などが法律で禁止されている大麻が、国会議員の事務所などが入る参院議員会館(東京都千代田区永田町)の敷地内で発見された。
「永田町で大麻草のような植物が生えている」との情報を得たAERA dot.の記者が21日昼ごろ、現場で大麻草が生えていることを確認。東京都の福祉保健局に通報し、同日夕に都の担当者によって抜去された。抜去時には、参院事務局の担当者や警備員など10人ほどが集まり、関係者との電話連絡に追われたり、実物の大麻草を撮影をしたりするなど、現場は一時騒然とした。
都福祉保健局によると、今回抜去された大麻草はいずれも発芽してから2カ月程度で、計4本。発見された場所は参院議員会館の建物の外で、雑草に混ざって成長していた。記者が現物を確認した時には、土壌に栽培用の肥料のようなものが撒かれた形跡もあった。
参院議員会館の土地を管理する参院事務局の担当者は「このあたりで大麻草が発見されたのははじめて。今後は職員に周知して敷地内に自生していないか確認したい」と話す。
大麻草の第一発見者は、都内の出版社に勤務する植物に詳しい男性。取材に対して「最初に見た時は大麻草かはわからなかった。全国的に珍しい植物なので、どういう植物なのか花が咲くころまで見たかったです」と答えた。
男性が指摘するように、大麻取締法があるなかで日本で大麻草が自生することは珍しい。特に都内に限ると、2017年に都が大麻草を抜去したのは4件だけ。本数にしても44本にすぎない。
厚生労働省医薬・生活衛生局によると、まれに川沿いなどに自生しているものや違法栽培された大麻の種が、鳥などが運んで生育することがあるという。それにしても、日本の政治の中心である永田町で大麻草が発見されるとは驚きを隠せない。
同省の担当者は「自生している大麻を発見したら、直接触れずに地域の保健所や警察署、各都道府県の薬務主管課に通報してほしい」と呼びかけている。なお、道路脇や公園なでに生えている大麻を個人で抜き取った場合、「大麻所持として罰せられる可能性があるので、気をつけてほしい」と警告している。