あれからときは流れ、佐々木彩夏はもうすぐ22歳になる。

 ももクロは今、その位置に立っているのか。

 正直、僕には確信がない。

 ただ、彼女たちはいい意味で、あの約束をうやむやなものにしていて、自分たちの中で咀嚼し、とっくに次の段階に行ってしまっているように思う。

 グループとしてだけでなく、個人でもたくさんの仕事をいただけるようになってきた今、僕の全く知らない、これまでに経験したことのないスケールの現場へ行く機会が増えてきた。自分の担当するタレントが未知の舞台に立っている姿をこの目で見られることは、マネージャーとして至上の喜びだ(これは僕だけではなく、全てのマネージャーさんが同じことを思っているはず)。

 そんな僕を見て、彼女たちは「川上さんがすごくうれしそうにしていた」と言う。本当は「こんな現場、きたことないでしょ? ここまでウチらが連れてきてあげたんだよ」とこちらの鼻を明かすぐらいでもいいのに、彼女たちはタレントの成長を喜ぶマネージャーの笑顔を見て、そのことを一緒に喜んでくれる。

 なんとも彼女たちらしいし、とても「粋」だなぁと思う瞬間。それもまたマネージャー冥利に尽きる。きっともう、僕の持っているものさしでは測り得ないような世界の一端に、彼女たちは触れているのだ。

 4人はすでに10周年を飛び越えて、その向こう側を見据えている。ももクロは10周年を目標にして活動してきたわけではないから、これも1つの「通過点」にすぎない。

 これからも百田夏菜子がグループの軸であり続けることは間違いないだろう。

 そんな彼女の姿をずっと側で見てきた玉井詩織が、ここにきて一段と大きくなってきたのは面白いし、いずれ佐々木彩夏がグループ全体をさらに押し上げるような存在になってくれるんじゃないか、と期待している。そして、高城れにはいつでも変わらず、みんなを優しく包み込んでくれている。このバランスは本当に面白いし、4人の関係性はそのままに、それぞれが日々成長しているから、見え方も変わってくる。

次のページ
ももクロは運がよかった?