とうとう財務省は観念したのか。それとも安倍晋三政権への“乱”なのか──。学校法人・森友学園(大阪市)への国有地売却問題で、学園の籠池泰典前理事長が同省の担当室長と事前に値引き交渉していた疑惑について、同省が自ら過去の国会答弁をひっくり返す新しい資料や見解を、次々に明らかにしている。
太田充理財局長は2月1日、参院予算委員会で、これまで「すべて廃棄した」としていた学園との交渉記録について、資料が残っていることを認めた。現在「個人情報や不開示情報がないか確認している」(太田理財局長)として、作業が終わり次第開示する方針だ。
これに先立ち同省は1月、森友学園との売買金額について「できる限り学園との事前交渉に努める」などと書かれた内部文書を公開。「事前の価格交渉はなかった」との説明は“ウソ”であった可能性が高まった。資料は、上脇博之・神戸学院大教授の情報公開請求に対して開示された。
これだけではない。1月末には共産党の宮本岳志衆院議員に対し、2015年11月に安倍昭恵首相夫人付の政府職員が、国有地の交渉について同省に照会したことについて、同省は「森友学園に関係しての照会であったことは認識していたと思う」との見解を新たに示した。これも、佐川宣寿・前理財局長(現・国税庁長官)が国会で「一般的な問い合わせ」などと答弁していたことと矛盾する。
昭恵夫人が小学校の名誉校長に就任したのは2015年9月。そして、昭恵夫人付の政府職員が財務省に問い合わせをしたのが同年11月。籠池氏は、この年の秋ごろから国との交渉が前に進み始め、「神風が吹いた」と証言している。
本誌が入手した資料を総合すると、籠池氏の証言と資料に記されている経緯は一致している。同省は学園に対し、2015年8月までは国有地の賃料について「増額要求ができる」と考えていて、値引きの話はなかった。それが、同年12月1日には一変。森友学園の財務状況が厳しいことを認識しながらも、早期買い取りの方針が示され、売買金額は学園側と「(格安で)事前調整する」という方針に変わっていた。