


引き抜くとすさまじい叫び声を上げ、それを聞いた人は死んでしまうという伝説のある植物「マンドゴドラ」が、兵庫県・淡路島にある農業公園「淡路ファームパーク・イングランドの丘」(南あわじ市)で花を咲かせている――。
そんなニュースが2018年1月10日、インターネット上などで報じられた。古くから物語の中で呪術や錬金術などの材料として登場し、現代でも映画「ハリー・ポッター」シリーズやアニメ、マンガ、ゲームにも出てくる伝説の植物が実在したというニュースは話題を呼び、ツイッターでは「実在したのか」といった驚きのツイートが続々と投稿された。
イングランドの丘によると、この日は園にメディアなどからの問い合わせが殺到。公式ホームページはアクセスが集中し、一時サーバーダウンしてしまったという。「まさかこんなに話題になるとは。(園内で飼育する)動物のニュースでサーバーダウンしたことはないのに……」。マンドラゴラの栽培を担当する同園のスタッフ、後藤敦さんは苦笑する。
後藤さんは2013年、バックヤードで枯れかけていた鉢植えのマンドラゴラを見つけ、育てることにした。独学で試行錯誤しながら栽培を続けてきたという。
栽培を始めて4年目の2017年12月19日、ふと鉢に目をやると、直径約3センチの可愛らしい紫色の花が咲いていた。園には15年以上前からあったが、開花したという記録はなかった。後藤さんは「驚きましたが、うれしかったです」と振り返る。
多くの人に花を見てもらおうと、12月下旬、マンドラゴラの鉢をバックヤードから人気のコアラ館に移して展示を始めた。1月11日現在、つぼみが7つあり、20日ごろまでは楽しめるという。後藤さんによると、葉からはポテトチップスのコンソメ味のようなにおいがするそうだ。花は無臭という。
一躍話題をさらったマンドラゴラだが、2014年、同園で「変わった生きもの」というくくりでサソリやヘビ、ウツボカズラなどと展示し、人気投票を行った際は、約10点の中で最下位だったそうだ。1位はゴキブリ。「花が咲いていなくて葉っぱだけだと地味ですしね」(後藤さん)