江戸最大の八幡さまで、何があったのか──。東京都江東区の富岡八幡宮の敷地内で男女4人が死傷した事件から一夜明けた8日朝、事件現場の近くに住む住民たちには「まさかこんなことが起きるとは」と驚きが広がっていた。
事件が起きたのは7日午後8時過ぎ。「刀を持って暴れている」との通報があった。現場付近では4人の男女が頭や腹から血を流して倒れており、3人の死亡が確認された。
殺害されたのは、富岡八幡宮の宮司である富岡長子さん(58)。現場近くで、富岡さんの弟の茂永容疑者(56)と、交際相手の女性が血を流して倒れており、2人とも搬送先の病院で死亡した。警視庁は茂永容疑者が姉の長子さんを刃物で襲った後、交際相手と無理心中を図ったとみて殺人容疑で捜査している。
警視庁などによると、茂永容疑者と交際相手の女性は、現場近くに隠れて待ち伏せ。車から降りた長子さんを茂永容疑者が襲撃。女性の方が日本刀を持って長子さんの男性運転手に襲いかかったという。
長子さんは2010年ごろ、父親の退任に伴い、宮司職に就いたが、かつて同神社で宮司をしていた茂永容疑者と姉弟間で確執があったという。富岡茂永容疑者は06年頃、長子さんに「積年の恨み。地獄へ送る」などと書かれた文書を送り、脅迫した疑いで逮捕された過去もあった。
富岡家を知る近所の知人がこういう。
「長子さんを殺害した茂永さんは素行が悪くて、離婚を何度もしている。女遊びもひどくて、金も賭け事などで湯水のように使って、宮司をかつて解任された。最近はどこに住んでいるのかもわからなかった。8月ごろに茂永さんから電話があって、長子さんが『外で遊び歩いている』とかデタラメを言ってたけど、地元の人は誰も信じなかった。それでも長子さんは『ごめんなさい』と言って謝ってましたよ。長子さんは氏子のために一生懸命仕事をしてたから、つらいです。今回の事件は宮司職についての逆恨みと妬みが原因だと思う」