多くの日本のファンは、カーショーと黒田博樹が親しい関係を築いたことも記憶しているかもしれない。2008年、渡米直後の黒田、メジャー昇格したばかりのカーショーはキャッチボールのパートナーになった。ふたりはすぐに互いを認め合い、歳の差を超えてリスペクトし合うようにもなった。

「(黒田と)一緒にいて、調整の仕方を見ているだけで参考になるよ」

 黒田がドジャースで最後にプレーした2011年、実際にカーショーに尋ねると、そんな答えが返ってきた。普段のカーショーはメディアに対してサービス精神が旺盛なタイプではないが、黒田のことを聞くと途端にうれしそうな顔をした記憶が残っている。ふたりの間の絆は本物だったのだろう。

 ここではソフトな部分を記してきたが、もちろん世界一を目指すチームのエースとして厳しい部分は持っている。登板日のルーティーンは神経質なほどにしっかりと守る。その闘争心、納得できない早期降板には憤りがちなことなどは、かつてESPNマガジンの特集で詳しく記されたこともある。マウンド上での成功に対して並々ならぬ熱意を持っていることは、投球時のボディー・ランゲージからも一目瞭然だ。

 引退後の殿堂入りはすでに確実な現代のナンバーワン投手は、素朴で、ルーツを大事にし、そして勝利のために全力を尽くすピッチャー。29歳の左腕の時代はまだまだ終わらない。今後もマウンド上では相手打者を支配し、同時に飾らない好漢として、多くのベースボールファンを魅了し続けるのだろう。(文・杉浦大介)

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