株式会社アイキューブドシステムズ代表 佐々木勉氏(撮影/今井裕治)
株式会社アイキューブドシステムズ代表 佐々木勉氏(撮影/今井裕治)
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 政府が推し進める「働き方改革」。電通の違法残業事件を受け、長時間労働是正を掲げている安倍政権ではあるが、その実現性には各所から疑問の声が上っている。

 一律の残業規制は日本社会の労働環境を根本的に改善してくれるのか。労働者の“働きたい権利”はどこまで認められるべきか。日本人の働き方を本当の意味で前向きに変えるために必要なことは何なのか。

 AERA dot.では、独自の働き方改革を実施している企業に取材。各社の代表、担当者に“改革”の狙いについて伺うとともに、日本人の働き方について聞くシリーズ「我が社の働き方改革」。

 第1回はスマートデバイスの管理サービス「CLOMO MDM」を提供し、最近では新機能「ワーク・スマート」で企業の「働き方改革」「健康経営」をサポートしている株式会社アイキューブドシステムズ代表の佐々木勉氏に話を聞いた。昨年は「マイクロソフト パートナー オブ ザ イヤー Open Source on Azure アワード部門最優秀賞」を受賞した同社。次世代IT環境の実現に向け活動するフロントランナーにとって「働くこと」とは。

■健康に働くことの重要性

――佐々木社長が掲げる「健康経営」は非常に興味深い取り組みです。

 そうですね。IT業界自体が長時間労働でブラックになりやすく、我が社でもかつてはいわゆる“デスマーチ”のようなものを経験してきました。この業界、急成長を続けているときにはスタッフも経営層も無理を厭わないような状態になるもの。結果、ストレスがたたり、精神的にも肉体的にも不調をきたすメンバーが続出した時期もありました。これでは会社は安定的な成長を目指すこともできないし、社員を幸せにすることもできない。そこで5年ほど前から、徐々にではありますが働き方改革的なものを始めることにしたんです。

――ある種、ブラック企業的な社風そのものを変えていかなければならないと。どのような取り組みをされたのでしょうか。

 まず基本的なスタンスとして、むやみに急成長を志向するより、達成可能な目標を設定することにチェンジしました。急成長をするなかでは会社全体が“もう少しがんばれるんじゃないか”というマインドになりがちですが、そういう考え方をやめたのです。またトップダウンよりボトムダウンで目標をつくるようにし、社員に対しても休日を増やし、1日の労働時間を下げるようにしました。ただ、労働時間を減らしながらも成果を上げていくには生産性を上げないといけません。

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