ジャズトランペット奏者の日野皓正氏が8月に東京都世田谷区であった中学生向けの体験学習事業のコンサートで、ドラムを演奏していた男子中学生を平手打ちしたとされる問題。賛否両論の意見が飛び交うが、カンニング竹山さんは「愛のムチはアイドルの恋愛禁止と同じ」と考えます。その理由は?
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日野さんの行動に賛成、反対といろいろ意見があって僕も考えましたけど、文部科学省が言っている通り「体罰はいけない」。これが基本。ただ、考えが分かれるのは、自分が育ってきた経験から意見するしかないからだと思います。僕なんか中学でぶん殴られて育って、確かに俺も悪いとこあったなと思うこともあれば、納得いかない殴られ方もあった。トラウマになってしまう気持ちもわかります。
それに、ぶん殴られて「何だこいつ」って卑屈になる人もいるし、「先生すみませんでした」って反省する人もいる。受け取り方にも違いがあると思います。
肌感覚ですが、殴られて育った人は、必要だって言う割合が高いのかなと思います。殴られたけどその先生のことを恨んでる人と、殴られて育ってない人は「間違いだ」って言う。これから年が経っていくと、「いや、殴っちゃダメだ」の比率のほうがもっともっと多くなってくる気がしますね。
今回のケースでひとつ覚えておかなきゃいけないのは、日野さんは音楽家であって教育者ではないということ。教育委員会の事業ではあるけど、学校の教員じゃない。だから教師の体罰問題とは分けて考えないといけないと思う。日野さんと生徒さんは元々関係性があったわけだし、殴られた本人とその親がそれでいいって言ってるんだし、今回はそれでいいんじゃないですか。
それと、大人にはいろんなタイプがいるって、子どもは知っていてもいいと思うんですよね。大人全員が教員免許持ってる教師じゃないし、子どもの気持ちを理解しているわけじゃないって。現実として、ぶん殴って育てようと考える大人もいるし、「それ体罰じゃないですか?」って言われても、「てめえの言うことなんか知らねえよ」って人もいるわけじゃないですか。生きていく上で、こういう人に出会うことはあるんだって。