●とにかく歩けが鎌倉散策の基本

 鎌倉の寺社には、京都や奈良の持つ古さや美術的価値の側面は少ないが、ゆえに古都が持つ格式張った近寄りがたさがない。これこそ、平安時代まで貴族のものだった宗教が、武家や庶民へと広がっていった鎌倉仏教のイメージそのものである。

 源頼朝が鎌倉に幕府を開いたのは、三方を山に一方を海に囲まれた「自然の要害」の地であったことも大きな要因だったろうが、今ではこの地の利が交通のむしろ邪魔となっている。多くの観光スポットは立地的要因などもあってか駐車場を持たず、抜け道が少ないため生活道路が幹線道路となっているのだ。これが、慢性的な交通渋滞へとつながっている。必然的に観光客は公共交通に頼るしかなくなり、駅で入場規制が行われてしまう。休日ともなると移動方法で一番早いのは歩きなんてこともあり、鎌倉観光はちょっとしたハイキングだと思った方がよいかもしれない。

●鎌倉のみどころ

 そんな鎌倉の見所スポットを簡単にご紹介して終わりにしよう。

<鶴岡八幡宮>
 鎌倉駅の正面にまっすぐに伸びる長い参道の正面に本殿が鎮座、鎌倉幕府を代表する神社。毎年年始の参拝者数でも全国上位を占めるほどの有名どころ。参道は、頼朝の妻・北条政子の安産祈願として作られたもので海岸まで1.5キロある。駅からすぐの赤い鳥居は二の鳥居。境内にある旗上弁財天社は、頼朝の旗上にちなんで独立などの祈願の多い社である。

<鎌倉五山>
 中国の五山にならい鎌倉時代に導入された格付けで、室町幕府・足利義満の時代に、建長寺(けんちょうじ)・円覚寺(えんがくじ)・寿福寺(じゅふくじ)・浄智寺(じょうちじ)・浄妙寺(じょうみょうじ)の5つに定まった。同様のものに京都五山がある。

 建長寺の境内は広く、多くの国宝・重文を所蔵するほか、庭園も名勝指定を受けている。増上寺から移築した唐門が美しい。

 元寇で戦死した武士と敵兵を祀るため創建された円覚寺には多くの塔頭があり、広い境内は鎌倉の独特な地形が生かされている。北鎌倉駅前からすぐのところに総門がある。

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