SFファンの中では神格的な存在とまで言える英国の作家、ニール・ゲイマン。グラフィック・ノベルズ、ファンタジーから自伝、テレビや映画の脚本などを手掛ける多彩な才能の持ち主だ。
「スターダスト」など著作が映画化され、来日した経験もあり、スタジオ・ジブリの「もののけ姫」の英語版の脚本家を手掛け、宮崎駿さんとの交流も深い。またコミックの「サンドマン」の生みの親としても有名で、「サンドマン 夢の狩人 -ドリームハンター」では天野喜孝氏ともコラボしている。
そのゲイマンが執筆した北欧神話とアメリカの現代文化を合体させた小説「アメリカン・ゴッズ」がテレビ・ドラマ・シリーズとして制作され、アマゾン・プライムを通して4月30日から、日本を含め全世界でビデオ配信される。
すでにオタク文化の最大イベントとされるコミコンなどのイベントで試写が行われ、大反響を呼んでいる。ゲイマンにロンドンでインタビューした。
――『もののけ姫』の英語版の脚本を手掛けられたんですよね。
あの仕事をやれて、とても光栄に思っているんだ。宮崎さんと仕事できたのは素晴らしい体験だった。
――宮崎さんとはどのくらいの時間一緒に仕事したのですか?
実は完成後に、ずっと親しくなったんだ。「もののけ姫」の仕事をしたときは、スタジオ・ジブリのアメリカ側の交渉をしてくれる人を通しての仕事が主でね。彼を通して、宮崎さんにはいろいろ質問をした。
宮崎さんに会ったときはとても緊張したよ。「もののけ姫」が、アメリカで初上映されたときにリンカーン・センターで初めてお会いしたんだが、いきなりハグされ、「サンキュー」とお礼を言われた。とても嬉しかった。僕の英語版の脚本を、日本版の字幕の参考にしてもらったんだ。というのも、僕の英語版のほうが、見ている人に分かりやすかったからって。
原作の日本語は古典的で、日本人にとっても難解だったそうだ。だから僕の英訳が日本版の字幕に反映されたそうなんだ。光栄だよ。宮崎さんに褒めてもらえたので嬉しかった。