福岡・河内藤園の藤
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東京・根津神社のつつじケ岡
東京・根津神社のつつじケ岡
神奈川・鶴岡八幡宮の牡丹園
神奈川・鶴岡八幡宮の牡丹園
神宮外苑・聖徳記念館前の「なんじゃもんじゃ」の木
神宮外苑・聖徳記念館前の「なんじゃもんじゃ」の木

 パワースポットと呼ばれる場所は、多くの場合自然に囲まれていることが多い。それは溶岩だったり、木々だったり、清流だったりするわけだが、近年では、そういった場所が人間のからだにどのように影響を与えるのかといった科学的な説明がなされるようになってきた。海外の研究では、自然の中に身を実際に置かなくとも、草木を写した写真のようなものを見るだけで集中力がアップするといった実験結果も出ている。

●梅は飛び、桜は枯れて、松は力尽き

 実は神社やお寺は、草木や花との関係が深い。全国的に見回しても有名なお花見スポットは、神社やお寺である確率が高いのではないだろうか。これは祀られている神さまに関係していることが多いためでもある。

 なんといっても有名なのは、菅原道真(天神さま)と梅の関係だ。これは、京から九州・太宰府へ左遷された折、愛でていた梅の木が道真を追いかけて飛んで来たことに由来している。太宰府天満宮では「飛梅」として有名だが、各地の天満宮・天神・菅原神社には梅の木は欠かせない。この続きとして、桜の木は道真との別れを嘆き悲しみ枯れ果ててしまい、松も梅をまねて飛んで行こうとするも途中で力尽きてしまった、という話もある。以降、道真を祀る神社には桜が根付かない、と言われていたが今では桜の名所として名高い場所も誕生しているので、これは説得力のない話となってしまった。

●大輪をつける牡丹は「百花の王」とも

 桜の次に咲く春の花のひとつに「牡丹」がある。昔は美人を形容して、「立てば芍薬(しゃくやく) 座れば牡丹 歩く姿は百合の花」という春から夏に咲く花を用いた慣用句があったが、今では芍薬も牡丹も以前ほど目にすることが少なくなり、イメージするのが難しい言葉になってしまった。

 牡丹は、中国原産の木で日本には平安時代に伝わったという。根の皮は消炎や鎮痛効果のある漢方薬として用いられていた。この効能のため、弘法大師(空海)が薬用として中国から持ち帰ったのが初めてである、という説が残っている。

 日本で一番有名な牡丹の名所は、奈良の長谷寺であることは異論のないところだが、関東でも東京の西新井大師や上野東照宮、鎌倉・鶴岡八幡宮、埼玉・箭弓稲荷神社の牡丹園もそろそろ満開を迎え、祭りが催されている。

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