だけどそういうこと繰り返している間に、この社会は取り返しのつかないことになるんじゃないかと思えてしょうがない。
「憲法守れ」とかそういうこと語ることが、「左翼」とか「反日」とか言われる社会になっている。
権力者が、憲法の枠の中で政治やるのは当然のことで、思想がどうとか支持政党がどうとか、それ以前の問題だ。
それなのに、極端に偏っているかのように非難される。
これまで「当たり前」だと思っていたことが、どんどん当たり前ではなくなっている。ものを言うことがどんどん難しくなっている。
こんな調子だと、やがて政治について語ること自体がタブーになるかもしれない。気付いたら政治は、人々のものではなくなるかもしれない。
民主主義(笑)――みたいな空気に、社会が包まれているかもしれない。
公のために、誰かが痛い目をみるのが当然の世の中になるかもしれない。
僕はそんなふうにはなってほしくない。少し前まで、わかったふりして、ちゃんと政治と向き合ってこなかったから、偉そうなこと言えるような人間じゃないのは自分でもよくわかっている。
アレコレ発言しても家に帰ってから「あんなこと言わなきゃよかった――」って後悔することも多い。
でもそんな人間だからこそ、政治について意見するくらいのことは、別に特別な人間じゃなくてもできるって思うわけです。
考え直すことは、いつからでも始められる。とりあえず今、思っていることを言うことから始めたらいいし、社会も、自分も変わるから、言っていることが後から変わってもいい。それくらいの気持ちで、みんな思っていることを本音で語り合えたら、その瞬間からちょっとこの社会は良くなるんじゃないかな――と僕は思うのです。(諏訪原健)