安全保障関連法反対のデモ活動を行った学生団体「SEALDs(シールズ)」の中核メンバーだった諏訪原健氏は、かつて「政治になんて関わりたくない」と考えていたという。だが、そんな意識が変わったのは――。
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「デモをやっている人なんて一部の特別な人でしょ」とか思ってしまう人の気持ちって、実はとてもよくわかる。
僕が路上で声を上げるようになったのは、ここ3年くらいの話だ。
それまでは、そもそもデモなんて見たこともなかったし、自分が国会前に毎週足を運ぶようになるなんて思いもしなかった。バイトばかりやっていて、あんまりアクティブに社会と関わろうとする学生ではなかった。できるだけ家にこもっていたい、布団と仲良くしていたい。今でもそんな人間だ。
自分の思いを表明したり、行動につなげたりするのってすごくエネルギーを使うことだと思う。僕みたいな腰の重い人間にはあんまり向かない。
実際、動かなきゃと思っても、気付いたら何もしないままってことが多い。
3.11(東日本大震災)をきっかけにして、社会的な活動に参加するようになった人って多いと思うけど、その時ですら自分は何もしなかった。
3.11の瞬間は鹿児島にいたから、いまいちリアリティを持てないままだったのもあるし、そもそも状況をきちんと見つめようとする気持ちすらなかったのだと思う。
復興支援のボランティア活動をしている友人を見ても、「意識高いなー、えらいなー」と思うだけで、結局他人事だった。「原発についてどう思う?」って聞かれても、「リスクは大きいけど、電源交付金ないと回らないのが地域の実情だよねー」なんて言って、賛成とも反対とも言わずに、結局ごまかした。
支持政党を聞かれた時には、安倍自民党ではないけど、民主党と言うのは気が引けるので「かつての自民党・宏池会かなー」とか答えた。
保守ともリベラルともとれるような答えを用意しただけだった。今となっては、どうしようもなく恥ずかしい。