「せっかくのお盆なんだから、ゆっくりと支持者回りをしたかったんだけどなあ。もう政局疲れだよ」。衆院解散がちらつき始め、永田町の住人からは、そんな愚痴めいた言葉が聞こえてくる。今、解散になれば各党の獲得議席数はどう変わるのか。新しい政治勢力が台頭するのか。選挙の裏表に精通した専門家たちの読みを聞いた。

 選挙プランナーの松田馨氏と、政治ジャーナリストの野上忠興氏、政治アナリストの伊藤惇夫氏に、各党の獲得議席を予測してもらった。

 まず3氏の意見が一致したのは、大阪維新の会が無党派層の圧倒的な受け皿になるという点だ。

 維新の会の獲得議席を、最多の116と予測したのは松田氏だ。

「私は滋賀を本拠地にしているので実感していますが、維新には一時の勢いはなくなってきています。関西以外の選挙区ではそれほど勝てないでしょうが、比例の投票先を維新とする人が全国的に相当いる。比例復活の当選者が大量に出るのではないでしょうか」

 野上氏は同じ第三極のみんなの党とうまくすみ分け、94議席を獲得すると見る。

「関西を中心に都市部や九州でかなり取る。みんなの党も関東を中心に42議席と躍進するでしょうね」

 第三極の挑戦を受けて立つ政権党の民主党は、歴史的大惨敗を喫する公算大だ。

「選挙区で勝ち残るのは、トヨタ自動車労組がついている古本伸一郎氏(47)や三菱重工長崎労組の高木義明選対委員長(66)のように組合組織がしっかり支援してくれる人か、日頃からちゃんと地元で活動をしている人だけ。鳩山由紀夫元首相(65)や田中真紀子元外相(68)も落選すると見ています」(野上氏)

 さらに伊藤氏も追い打ちをかける。

「大敗した05年の郵政選挙で、民主は300の小選挙区で52しか取れなかった。今回はそれに近い数字になるでしょう。比例でも取れないから、上限は150議席だと思います」

※週刊朝日 2012年8月17・24日号