本田、香川らが試合勘を失うなか、チームの中心として活躍を続ける原口元気。(撮影・六川則夫)
本田、香川らが試合勘を失うなか、チームの中心として活躍を続ける原口元気。(撮影・六川則夫)

 11月15日、日本代表は2018年W杯アジア最終予選でグループB首位のサウジアラビアをホームの埼玉スタジアムに迎え、2-1と辛勝。勝点を10に伸ばしてサウジアラビアに並び、同日に行われた試合でオーストラリアがタイと2-2で引き分けたため、オーストラリアを抜いてW杯出場圏内の2位に浮上した。

 9月と10月のW杯予選では、「試合に出られていない海外組のコンディションが上がらない」とか、「練習時間が少ない」とエクスキューズの多かったハリルホジッチ監督だが、ようやく11月になって、その対処法を見つけたようだ。

 11日に行われたオマーンとの親善試合では岡崎慎司をスタメンから外して大迫勇也を1トップに起用。本田圭佑は先発させたものの、61分で早々にベンチに下げた。この試合のあと、ハリルホジッチ監督は、大迫について「このポジションに良い候補がみつかった」と評価する一方で、本田については「ゲームのリズムが足りない。経験があり存在感を出してきたが、サウジアラビア戦を控え、一番良いパフォーマンスの選手を見たい」とベンチスタートを示唆していた。

 さらにサウジアラビア戦の前日会見では、記者から香川真司と本田の状態を聞かれると、「チームは11人で戦うわけではない。サウジも交代選手が違いを生む。我々は25人いて、スタメンはより良い11人、交代はサブではなくジョーカーで、より良い結果を生むためにある」と2人をフォローしていた。

 そして、サウジアラビア戦で「より良い結果を生むため」に選んだのは、1トップに大迫、そして本田の定位置だった右MFに22歳の久保裕也、トップ下がオマーン戦に続き清武弘嗣だった。試合は90分の失点シーン以外は、日本がほぼ完璧な試合運びを見せた。サウジのカウンターにも慌てることなく対処して、今回の練習で何度も繰り返したデュエルでも引けを取らなかった。

 前半45分の清武のPKによる先制点は主審のプレゼントだったが、終盤の80分、それまで攻守にわたって献身的な動きを見せ続けていた原口元気が値千金の追加点を奪う。この2点目をお膳立てしたのが、これまで代表を牽引してきた3人だったのが印象深い。長友佑都と本田が左サイドで絶妙なパス交換から、最後は長友が左サイドを抜け出してマイナスのクロス、これを香川がスルーして原口のゴールに結びつけた。

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