日本中が五輪4連覇しか信じていなかった女子レスリング53kg級吉田沙保里が銀メダルに終わったものの、日本の女子レスリングは、変わらず世界トップクラスの水準にあることを証明した。
女子レスリングが五輪正式種目になって12年、日本は常に世界で最も多くの金メダルを獲得してきた。そうして強豪国として揺るぎない地位を保ち続けてきたが、一方で近年の日本女子には、世代交代が大きな課題として立ちはだかっていた。12年前のアテネ大会から4年前のロンドン大会まで、代表選手がアテネ五輪世代のまま、変わっていなかったからだ。ところが、今回初めて若い世代が五輪代表に選出。今大会は、彼女たちの実力が問われていた。
五輪前の予想では、初代表選手のうち、48kg級・登坂絵莉は金メダルを手にするだろうとみられていたが、世界一の経験がない63kg級の川井梨紗子と69kg級の土性沙羅は、正直なところ、金メダル当確とは言いづらかった。昨年の世界選手権で川井は決勝フォール負け、土性も試合終盤の勝負弱さをたびたび露呈することが課題となっていた。
ところが、いざ試合が始まってみると、不安視された2選手の試合運びは堂々としたものだった。特に土性は決勝で試合時間残り少ないなかから逆転勝ちしている。昨年までの土性には、見られなかったたくましさだ。